紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

「家族」 英子 2


 KEIは、地元、東京にある写真と音響の専門学校に籍を置き、学生の傍らモデルの活動をしていた。将来的な目標はまだ定まっていないが、製作に携わることを好んでいる。


 モデルはスカウトされたことがきっかけであるが、学校で写真の勉強もし、写される側から見ておくことも役に立つと考え、励んでいた。


 モデルとしては、170cmを越える身長に美しく整った顔立ちでファッション誌の表紙を飾るほどの人気を博している。そして、人気に乗じ彼女の思惑とは関係なく大人達が利用し始める。彼女の心は乱れ、荒れることもあったのだ。


 当時の雑誌制作スタッフへの取材では、


「繁華街をうろついてた現場を関係者に見られたりね、素行も悪かったんじゃないのかな。高慢な態度で悪態ついてたしね、手を焼いたな、彼女には。現場に来ないこともあったし。人気モデルさんだったから、チヤホヤされてたんだろうね。こっちは予定狂わされたって文句も言えないよね」


とあざけるように笑い答えている。


 反対に専門学校の友人からは、


「素行が悪いなんて、そんなのとんでもない。ただただ、音楽が好きでライブ・ハウスによく通っていただけで、私も何度も一緒に行ってるわ。人気モデルだからって私達に高慢な態度を取ることもなかったし。ただ、商品として扱われる自分が嫌だったみたいね、彼女。私たちにはモデルの話も一切しないし、聞かれることも嫌だったみたい。今はきっと彼女自身を見てくれて、受け入れてくれる人と幸せに暮らしてるんじゃないかな。そっとしておいてあげて欲しい」


と、擁護し、同級生が話すように、荒れた一面は仕事関係者に向けられていたようだ。


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