「家族」 決断 2
サイクリングを終え、カフェに戻った二人に雪子と綾香が噛み付いてきた。
「もう、今日は休みでお天気いいから、みんなでサイクリング行こうって思ってたら、二人ともいないんだもん」
「ほんとよね~あれ?、先生と英子さんの自転車ない!って」
「で、どうだった?デート」
「ええ、とっても楽しかったですよ~」
「もう、いいな~二人だけで。罰で、う~ん、お寿司屋さん連れて行きなさい!先生はカッパ巻きしか食べたらだめっ!」
「お~いいね~、久し振りに玄さんのお寿司食べたいね。英子、電話しといてよ」
雪子と綾香は二人で顔を見合わせ「うんっ」と言った表情で首をかしげた。
電話をかけてる英子が、
「あなた~玄さんもう仕込み終わったから、早い時間でもいいって。もう行きますか?」
「あなた~だってよ」
電話の相手、玄は電話口でつぶやき
雪子が綾香に小声で、
「ねえ、聞いた?あなた~だって。さっきは先生、英子って呼び捨てだったし。あなたって、ユー?、それとも、ダーリン?」
「ダーリンがいいな、私」
綾香が笑顔でぽつりとつぶやいていた。
寿司屋に入った4人は座敷に座り飲み物と造りを頼み、敏也が仕事の件で口を開くと、雪子が口を挟んだ。
「もう、せっかくの休みに仕事の話やめてくださいよ。もっと、みんながパーって明るくなる話はないんですか?」
「いや~そう言われてもな~」
雪子はニコニコしながら
「じゃあ、私から質問です。マスターは玄さんに電話を頼むとき英子って呼んで、英子さんは、電話口であなた~って呼んでました。間違いないですね。あなたの意味はユーですか、それともダーリンですか?」
「あっ、俺も聞いちゃったもんね、英子さんがあなた~って呼んでるの」
玄も刺身を引きながら相槌を打っている。
英子と敏也は顔を見合わせ、困った様子であるが、いつか話さないといけないことでもあり、雪子がきっかけを作ってくれている。
「今日ね、二人で出かけて、そのときにプロポーズしたんだ」
「で、英子さんはの返事は?」
と、雪子がマイクを握るように英子の口元に手を差し出した。
「もちろん、OKの返事、しましたよ」
雪子と綾香はお祝いの言葉を伝えるも今にも涙が溢れそうな様子だ。
話を聞いていた寿司屋の女将さんは、
「よかったね、あの二人。いつかこうなって欲しいって、、、」
と玄に話し、タオルで目頭を押さえ、玄も鼻をすすいながら答えていた。
「何、お前が泣いてるんだ、馬鹿っ、早く酒持っていかないか」
英子には、20年以上の一途な気持ちを実らせた日であった
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