紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 日本史の歴史

 学校で習う教科で、人が生きていく上でさほど必要のないものもあるであろう。また、知識として得られれば大きな意味を持ち、人を豊かにしてくれるものもある。人それぞれに目指すべきものが違い異なるのであろうが、国際社会の仲間入りをし、活躍の場を世界に向けるのであれば、国際語として認識される英語は重要である。しかし、残念なことに先進国中で英語を話せる人の割合は最低レベルであろう。同じように学校で習う歴史も年号を暗記させることに重きを置き面白くはない。そんな暗記はいつまでも覚えてられるはずもなく、何ら意味がない。ただ、国際社会で活躍するには自国、世界の歴史を知ることはとても大切なことだ。


 BGMに、アフリカ系アメリカ人の音楽と、その影響を受けヨーロッパ系アメリカ人の間に広まったカントリー&ウエスタンを融合し完成された音楽“Rock’n’Roll”を、創始者の一人である“Chuck Berry”から選んだ。近代音楽の始まりでもある。ちなみに“Rock’n’Roll”とは、アメリカで男女の営みを表すスラング(隠語)でもある。他の英語圏では通じないので念のため。



Chuck Berry - Johnny B. Goode [HQ]


 <カラン、カラン> ドアに取り付けた呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、明日香が一人で姿を見せた。彼女一人での来店は初めてである。ジンリッキーを頼むと彼女はバックから一冊の本を取り出し読み始めた。


 飲み物を提供すると、歴史が好きで多くの本を読むのだと言う。きっかけはTVゲームの戦国武将であるが、今は幕末期に活躍した新撰組に夢中のようだ。ブームとしては一頃の勢いは失せているものの、興味を持ったものを突き詰めることは素晴らしいことだ。多くのことを学んで欲しいと願う。私は読書の邪魔にならないようBGMのヴォリュームを絞っていた。


 私のような一般の者が歴史に興味を持ち知ろうとするには、二つの理由があると思う。一つは限られた資料の中から事実を探る好奇心。二つ目は得られた知識を下に現在、そして未来に向けた指針を導き出すことや、その時代、対象となる組織や人物に共感することだと思う。科学的な捉え方と哲学的な捉え方が出来る。


 彩香が読書に一息入れ、私に歴史が好きかを先ず問い、好きだと答えると、新撰組に思うことを聞かせて欲しいと話した。


 私は組織の在り方や、その中での人間模様などに共感する方を否定するつもりはないと前置きをし、気分を害さないよう願い、私の見解を答えた。


「与えられた任務とかの説明はよく理解されてると思うので省きますが、私は殺戮集団としての認識しか持っていませんね」


「え?それは驚きですね。ほぼ勝ち目のない戦に忠義を尽くし、そして散っていく姿はすごく共感できるんです」


「もちろん人がどう感じるかは自由であり、そこに美学を感じ共感することは理解出来ないことではないですよ。ただ、そう言ったことは小説だとかドラマから感化されたものなのではないでしょうか?」


 古くから日本史は「物語」として伝えられてきた経緯を持つ。「古事記」、「日本書紀」に始まり「太平記」、「平家物語」、そして明治以降に書かれた数々の歴史小説が、私達の日本史として一般に認知されている。


 元来「物語」、小説は文学として創作されるもので、史実に忠実であるものなのか、史実に拘らない創作なのかは、作者の意図でしかない。森鴎外もこの件についてエッセイ「歴史其の儘(そのまま)と歴史離れ」に綴っている。


 近い将来、幕末の英雄と称される「坂本竜馬」が歴史教科書から消される可能性もある。土佐新聞で連載された小説を下に、司馬遼太郎の書いた創作が史実として認識されてきたことへの対処であろう。私には真実がどこにあるのかはわからないが、歴史に創作なり過大な評価はあってはならないと思う。ロシア(当時ソ連)のノーベル賞作家が以前語った言葉だ。


「偽りの歴史は権力によって創られる」


 歴史上の実在人物が登場する物語でも、単に娯楽として楽しむ分にはどのような記載があっても自由であり、受け入れる、受け入れないも読み手の自由である。ただ、謝った認識が史実として認知されてしまうのは大きな問題がある。創作を鵜呑みにし流されては真実は見えてこない。そこから歴史に基づいた未来に向けた指針を導き出すことなど出来ない。


 日本は新たに韓国との問題が勃発していて、それに対し多くの意見があるであろう。私はこの件に関し多くの事実を知らないので語ることは出来ない。ただ、間違いなく現実としてあるのは、日本人の歴史認識は、学校教育も含めこのレベルである。人の意見に流されず、自国の過去の行いを見極め、国、民族に対し愚かな差別発言がこれ以上増えないことを願うだけだ。


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