紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 吠えるChicken1


 ペットを飼う人が最近は多く、散歩姿の可愛らしい姿をよくみかける。愛らしいペットのしぐさが癒してくれるのであろう。私はペットを飼った経験がないので動物の心理はあまり理解しないが、やたらと吠える犬を見ることがある。私の相方は小型犬を飼っているが、過去に大きな地震を経験し、恐怖を感じるのだろう、地震が起こると怯えて吠えるのだが、普段は無駄に吠えることはない。いつも寝起きを共にし、私以上に愛を注がれる「なな」にやきもちをやく私は、ただの馬鹿。


 BGMに“Elvis Presley”を選びターンテーブルに針を落とした。アフリカ系アメリカ人への差別が強い中、彼らの音楽を取り入れた画期的な音楽家かもしれない。



Elvis Presley - Hound Dog (1956) HD 0815007


 <カラン、カラン> 
 ドアの呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、彩香が顔を見せた。ジンロックを頼まれ、提供した後、犬の話題になり彼女はこう話した。


「よく吠える犬は小型犬が多いんだけど、生まれてから必要な期間、母犬と一緒にいられなかったり、やはり飼い主から十分な愛情を注がれていないんですよね。守ってくれるものがいなくて、自分でなんとかしなきゃって思うんだって。愛情いっぱいに育てられてる犬は、やっぱり無駄吠えしないですよ」


 <カラン、カラン> 
 彩香の話を遮るようにドアの呼び鈴が客の来店を知らせ、新規の男性が一人で入ってきた。座った位置は適度な距離を置くものの隅ではない。この手の男は扱いにくそうだ。ごく普通にビールを頼まれ提供したが、何かしらのコンタクトがあるまでは、様子をみながら放置が適切であろう。再び、彩香との会話を私は楽しんだ。


「人も同じなんですよね、気が小さくて弱い人ほど、何かに文句をつけてキャンキャン吠えるのと同じ。で、文句ばかりで、行動できなくて、どうすれば解決すのか指針もない。職場でもそんな人多いですよ。人とかではなく地位とかそんなことで守られてるって言うんですかね、自分を大きく見せて弱い立場の人間にぐちゃぐちゃと」


 彩香はこう話、「あんなタイプ、そんな感じかもね」と小声で話し、距離を置いた男の客をチラリと見ていた。


 男はビールの追加を頼んだが、酒の勢いもあるのか、態度が横柄だ。客の立場になると態度が大きかったり、酒の助けを借り態度を変える男はよくいる。


「なあ、マスター、世の中おかしなことばっかりでうんざりするなぁ~おい」


 男はこう話し、世の中の理不尽さ、そして、日本と揉めることの多い国に対して愚痴をこぼし始め、そして自分は「正義」だと言い放つ。相手をしていた私も、話を聞いていた彩香も噴出すのを堪えるのが精一杯だ。己を正義だと言い、不平、不満を口にする人間にまともなやつはいないであろう。未だかつてお目にかかったことはない。彩香の勘は見事に当たった。さすが女性だ、一瞬にして人を見抜いていた。


 不平、不満を日頃から口にする人は、大きなコンプレックスを持っていることも多いようで、そのことで自分の存在価値を見出すことしか出来ない。そして人とのコミュニケーションを取ることを苦手とする。同じような人種であれば互いの価値観を共有し、異常なまでの集団心理で繋がるが、愛、思いやりには欠ける集合体だ。


 また、この手の人間は、年齢と経験を重ねれば理解できてくるはずの真理に気付く事が出来ず、物事の良い面にスポットを当てて考える事が出来ない悲観主義者が多い。また、何事も自分が中心であり、一点のみしか見ることができず、全体をみれない。相手の立場に立つなどの芸当はとても無理な人達だ。


 彩香は普段ブログに携わり、多くのことを発信しているのだと話し、そこでの出来事を話し始めた。
                                      続く


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