紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 似て非なる国1


 ドイツ人と日本人の気質、国民性が似ていることは昔からよく聞く話だ。国民性は長い歴史の中ではぐくまれるもので、ドイツも日本も地方分権だった国であり、歴史的に国家体制が似ていたことも要因のひとつであると思う。また、農業が盛んで、資源は乏しく輸入に頼り「ものづくり大国」として共に発展してきたこともあるであろう。両国共に勤勉、真面目さが挙げられるが、どうなのであろう。


 カラン、カランとドアベルが鳴り客の来店を知らせると、優子とクリスティーネがやってきた。


「マスターお店、開けてるんですか?外の灯りも点いてませんよ」


「あ、いらっしゃいませ。お二人様ですね、どうぞ」


 私は営業時間に入ってもカウンター内に座り、購入してきた本を夢中に読みふけっていた。BGMもまだかかっておらず、慌てて外に出て灯りを点した。


「申し訳ありませんでした。お飲み物はいかが致しましょうか?」


「私はジャックのロックで」「私はカールスベルグを」


 ドリンクを用意しBGMを選んだ。世界的な成功を収めたドイツのロック・バンドでアフリカ系アメリカ人との接点は、当時在籍していたギターリストがジミー・ヘンドリックスの影響を大きく受けていることであろう。



Kojo no tsuki (Resplandece la luna) Live Concert Scorpions Tokyo Tapes 1978 Germany


「夢中に何の本を読んでいたんですか?」


「この本は『アイヌ民族の歴史』なんですよ。お客様で北海道の二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館に行かれた方がおみえで、そのお話を熱く語られまして。それで、影響を受けてしまったと言うか、日本人として現実を知らないといけないと思い、私も彼らの文化、歴史を学んだ上で、日本が行ってきたことを学んでみたいと思いまして。ついつい、、、営業時間忘れて夢中になってしまいました」


 聞きなれない言葉にクリスティーネが尋ねた。


「アイヌ民族?ごめんなさい私、わかりません」


「はい、日本の北海道島とロシア領の千島列島は元々アイヌの方が住んでいた土地で、先住民ですね」


「アメリカのインディオと同じ立場なのですね」


「はい、国家を形成していませんでしたので、侵略と認識されていませんが、しっかりとした文化を持ち、生活を営んでいました。コロンブスが侵略と認識されるように、日本の行為も侵略に間違いないですね」


 私は恥ずかしながらアイヌ民族について多くの知識を持たず、自国で起こったことさえ知らなかった。同じように優子も名前を知るぐらいで何も知らないと言う。


 日本はアジア諸国に進軍し、侵略、統治した歴史を持っている。自国の過去の過ちを忘れることなく後世に伝え、世界平和を唱えていくべきではないだろうか。そして独立国家であった琉球王国への侵略、統治、併合、また、独立国家ではないものの、他民族を支配してきたことも忘れてはならないことだ。


「日本も重い汚点を残した歴史があるんですね。でも知らなかったって、学校で習わないのですか?」


「残念ながら学校で習うことは触りだけで、多くの日本人は汚点を残した認識は持っていないでしょうね」


「ドイツは同じ大戦で日本と同じ敗戦国になりましたけど、その教育に割かれる時間はすごいです。今もです。子供の頃から戦争を学び、ヒトラーがドイツの名の下にヨーロッパ全土で行った行為をみんな知っています。そこから反省が生まれ、みな、世界平和を望みます。日本はどうして教えないのですか?自国のことを」
                                      続く


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