紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 王様


 さぁ、店のオープンだ。今日は何をかけようか、キング、キング、キング、って、この手の音楽、やたらと多いのがキングだなぁ~。佐藤さんや田中さんみたい。


「この前さぁ~キングのアルバム聞いたんだけど」とか言われても誰を聞いたのかさっぱりわかりゃしない。


 フレディ・キング、アール・キング、ベン・E・キング、アルバート・キング、グループまでもジェリー・ロール・キングスって。で、忘れちゃいけないのがそう、B・B・キング。何故かって?それはもう「踊るポンポコリン」唄ったB・B・クィーンズが名前をパロディしたから。「いんちきおじさん」まじ格好いいし、半年程前にライブ行ってきましたよ。しびれちゃったぁ~って、別に正座して聞いてたわけではないんですけどね。


 それから、「ロコモーション」の作者であるキャロル・キングは女性っすね。なぜ、キングなのかはちょっと不思議。この方、芸名なのに、、、あっ、クィーンってバンドもあったけど、男だ。


 あと、公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは音楽家ではなくて牧師さん。「私には夢がある」の演説に感動した人も多いと思います。私は泣いちゃいましたけど、、、もちろん、私が生まれる前の演説でVTR。おじさんの演説に涙を流す青年、その頃はね、ちょっと変かも。そんなことは放っておいて欲しいけど、この演説をリアルタイムで聞いた人は、もうカテゴリー的にはおじさんを通り越してますね、たぶん。私はまだ、おじさん。


 そしてもう一人、ついでっちゃ~なんですけど王様って人がいましたね。彼は日本人でヘビ・メタなのであまり関係ないですけど、蛇じゃなくて、へビィーの略ですからね、お間違いのないように。あまり興味のある音楽ではなかったけど、ちょっと、笑えましたね。


 えっ~と、私、何の話するつもりだったのだろう、もしかして、モルツ?それはビール!。アルツなのか?私。優しいお心で「若年性」と付けて頂ければ、ちょっと嬉しいです。


 そうそう思い出した、王将。餃子とビールがもう最高!違う、王様。で、王様の中の王様、かけてみたいと思います。



B. B. King - The Thrill Is Gone (Live at Montreux 1993)


「マスター?マスター?大丈夫ですか?ずっと独り言」


「あっ、いらっしゃいませ。ごめんなさい、お恥ずかしい。漫談に必死で気が付きませんでした、、、B・B・キング探してたら他のキングさんばかり出てきてしまって、思いついたことべらべらとしゃべってました」


「なんか、おかしっ。いつも丁寧な口調ばかり聞いてるんで。で、今、かかってる人がB・B・キングなんですか?あっ、ハーパーをロックでください」


「はい、かしこまりました。そう、B・B・キング、バンド形式のブルースにブラスやホーンを入れて、より楽しいブルースも聞かせた人ですね」


「楽しいブルースかぁ~、ブルーは憂鬱とかですもんね」


「はい、お待たせ致しました。陰と陽で見ればブルースは陰の歌が多かったんですけど、何も人々の生活は陰の要素ばかりじゃないですよね、楽しい事だってあるはず。ブルースは歌詞の内容ではなく、ひとつの音楽の形式として楽しいって言うか、夢を乗せたと言うかね、それで彼によりブルースが世界中に広まったわけです」


「ブルースを世界に広めた伝道師ですね」


「それに、公民権運動の指導者キング牧師が“I have a dream”の件で人種差別の撤廃と各人種の協和を説いた演説をしたんですけど、その中の『全能なる神に感謝を!我々はついに自由に!』の言葉は、定かではないんですけど、B・Bがこのスリル・イズ・ゴーンの中で歌った『俺はお前の呪いから自由に、自由に』の歌詞を引用したとも言われてますね」


「世紀の名演説のお手本だなんてすごいですね」


「まぁ、確かなことはわかりませんけど、ブルースを酒と女と嘆きの歌から脱却させたことは間違いないですよ。もちろん多くの批判も受けた人です」


「変わることに批判は付き物ですからね」


「おっしゃる通りですね。でもより良くするには変えることも必要で、どんな批判を受けても決してブレないことですよね」

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