紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

出来ることならば初話からお読み頂ければ幸いです。

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 連載中

“Soul bar-IORI” Jazz1


 ジャズ、何か取っ付き難い音楽かもしれない。ジャズにヴォーカル曲もあるが、多くの曲には歌詞もなく、楽器での演奏が繰り返される。そして、やたらと長い。歌詞があり、3分程の時間に集約されたポピュラー・ソングに慣れ親しむと、多くの違和感があり、理解するには難しいと感じてしまう。


 理解することなどさほど意味があることとは思えないが、ジャズを取り巻く環境がより難解なものにしていることも多い。


 コアなジャズ・ファンの多くは、あまり意味を持たない拘りを持ち、己の中だけに留めることなく人に押し付けたり、語りたがる。決してジャズだけではないであろうが、特に多い気がしてならない。面倒臭い。


「へぇ~最近ジャズ聞いてるんだって?帝王マイルス聞かなきゃダメだよ」
   《自分の好きなの聞きたいんだけど、、、》


「あんなのはジャズじゃない!」
   《あなたが決めるんですか?》


「ジャズは複雑なコード進行により組み立てられた曲のよさにあるよね」
   《曲の完成度から見れば、明らかにポピュラーのが上であると思うけど》


「ジャズはさ、バック・ビートでシンコペーションを多用し、インプロヴィゼーションの醍醐味があって、コール&レスポンスによって、、、」
   《難しい言葉使わずに、わかりやすく話して欲しいんだけど》



 店をオープンさせ、ターンテーブルに“Big band jazz”から“Count Basie”をのせた。スピーカーからは軽快な音が流れ、呼び鈴が客の来店を知らせ、ピアニストが顔を覗かせた。



One O'Clock Jump - Count Basie and his Orchestra (1965)


「いらっしゃいませ。今日は早いですね」


「ええ、今日は休みなんで、ここでじっくり音楽聴こうかなぁ~って。家だと音量上げられないしね。長居しますよ~」


「大丈夫ですよ、ありがとうございます。ごゆっくりなさってくださいね。お飲み物は?」


「いつもバーボンなんで、今日はカクテル作ってもらおうかな。ジンライムは甘いし、、、」


「フレッシュのライム搾ってお作りしましょうか?特別に」


「わぁ~嬉しい、じゃ、ゆっくり飲みたいんで、ジンライムソーダで」


「かしこまりました。少々お待ちください」


「ねえ、マスター、ジャズってさ、何を持ってジャズって言うのかしら」


「難しい質問ですね、正直、私にもわかりませんよ。何か聞きたい曲ありましたらリクエストしてくださいね。はい、お待たせ致しました」
                                      続く


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