紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

出来ることならば初話からお読み頂ければ幸いです。

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 連載中

Primo piatto 期待に膨らむ胸


 旅三日目の朝を迎えたが、昨日まではある程度行程を決めて行動しており、今日からが本当の旅の始まりかもしれない。


 朝食は昨日とは違う店で取り、こちらもバイキングとあり内容はほとんど変わりはしない。 
  店の中は日曜の朝にも関わらず、若いスーツ姿の女性が多いのだ。きっと新人研修なのであろか、綺麗な方もそうでない方も真新しいスーツに身を包み、皆、期待に胸をふくらませ、中にはベストのボタンがはち切れそうな方もみえたりで、とても愉快で楽しい光景の中での食事であった。
 自分の20代を振り返るが遠い昔の話だ。彼女たちも次々と店を出て、ここに居る価値もなくなったところでいよいよ出発だ。


 私が向かう方角は南西で、それだけを考え自転車を走らせた。標識に出てくる地名など何一つわかるところはなく、頼るべきものは方位磁石のみだ。鍵の束に付けて、いつでも確認できるように自転車の小物入れにしのばせておいた。


 途中自転車店を見つけたので空気の補充だ。店舗の外に設置してあった空気入れでは形状が合わず、店舗の中に借り入れを頼むと可愛らしいお姉さまが対応してくれ、忙しい中補充も行ってくれて感謝である。空気圧も適正で走行は快適だ。


 しばらく国道202号線を走っていると、信号待ちの車がラインを超えて停まっており、行く手を妨げられ歩道に逃げようとしたときスピード、角度ともに目測をあやまりペダルから足が外れる前に転倒である。お気をつけてと、声を掛けて見送ってくれた、自転車屋さんのお姉さまの言葉が妙に虚しく感じられてしまった。

 歩道で自転車を起こし異常の確認をしたが、フレームに傷が付いただけで済み問題はない。自転車乗りの多くが落車をすると、自身の怪我より先ずは自転車の無事を確認してしまうと聞き、私も同じ行動だったのが妙におかしかった。幸いに季節がら長袖を着用していたこともあり擦り傷もなく済んでいた。
 もし空気圧が減ったままこの事態を招いたら、パンクの可能性もありお姉様に感謝、感謝である。再度このお姉さまにかけてもらった言葉で気を引き締め出発だ。
 様子を伺っていた車のおにいさんに大丈夫かと声をかけられたが、放っておいてほしかった。こちらは落車して恥ずかしいのです。


 国道に進路を取り続け、想定外の海に出くわした。もっと南に進路を修正しないといけないが、あまりにも美しい海で、平行してJRも走っていることからこのまま海岸線を走ることにした。


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 朝の天気予報は15時ごろから雨で、雨具は用意しておらず、いつ降り出しても良いようにと、この先あまり購入機会もなさそうで、コンビニに立ち寄り休憩も兼ね雨具の購入だ。
 雨の走行は危険が多く、出来ることなら避けたいし、最小限に留めたい。理想は降り出す前に宿に入ることだが、それほどうまく行くことは難しいであろう。最悪はJRも走っており、激しく降れば宿のある街まで輪行すれば良い。


 美しい海を右手に、JRの少し古めかした味わいのある列車が左手に私を追い抜いて行く。休憩を取ったばかりだが、パーキングエリアがあり立ち寄ることにした。

 商業施設は入っておらず、景観を楽しめるスペースがあり、観光案内所が入っている。現在地の確認と地図が頂けないか案内所に入ると、いらっしゃいと迎えられ、ゆっくりと休憩していってくださいねと、お茶とお菓子を頂いたのだ。
 自転車旅は珍しいと話すが、大阪から旅に出たと言う自転車乗りの男性がすでにくつろいでおり、時を同じくして重なったことに驚いていたのだ。
 この男性も交え時間にして15分ほどだが話をして、雨の心配もあり先を急ぐことにした。地図と雨が降ったらザックにかけてとビニールの袋も頂き、感謝、感謝である。





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