紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

Dolce 不人気スポット  


 今日こそは家に帰ろうと心に決めてカフェを出発したのだが、目の前は日本の歴史上最も由緒ある場所であろう。訪れたい箇所がいくつもあるのだ。


 金閣寺、銀閣寺、清水寺等々有名どころに行けば、きっと素敵なお姉様達で溢れているに違いない。想像しただけでワクワクするが、無信仰である私は、仏閣にはまったく興味がない。清水寺に向かう坂の途中にある七味屋さん。黒七味はぜひ買っておきたい一品だ。でもきっと行かないであろう。


 訪れた場所は御所である。天皇を心から崇拝する私は、、、とも文章を綴れない私だが、この御所にある蛤御門を見ておきたかったのだ。
 御所内は予約制で所定の手続きを踏めば観覧できるが、私にはあまり興味はない。


 江戸時代末期、薩摩、長州の両藩が戦った禁門の変跡であり、この戦いの後、和解し同盟を結び新政府を作り上げて行った。


 門には銃弾の跡がくっきりと残っている。


 次なる目的地は池田屋跡地。長州藩を中心にした攘夷志士が終結していた池田屋に、見廻組の下部組織として発足し活動をした、治安部隊なのか殺戮部隊なのかよくわからない新撰組が乗り込み制圧した事件だ。


 今は居酒屋として営業している。
 新撰組に好意的ではない私は、営業時間外で助かった。乗り込み酒を飲もうものなら、切られていたかもしれない。輪行しようと準備していた駅で、自警団に見逃してもらい助かった命を(怪しい人物の項参照)大切にしたい。と、さり気なく過去ログの宣伝をしてみる。


 近くに流れる高瀬川が何か情緒があり心落ち着く。江戸時代初期に物流の為に設けられた運河で、森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台となった川だ。大正期に安楽死と向き合った作品で多くのことを考えさせられる。作者の覚えはないが「高瀬川」と題の付いた小説も、本を買った覚えがあるが、数ページ読んだだけで内容を把握していない。


 そして、二条城だ。江戸幕府初代家康と最後の15代慶喜が共に関与した城で、江戸期の始まりと終りの場所でもある。特に慶喜により大政奉還が宣言された場所で、近代国家日本の始まりでもあり感深い場所である。


 二条城を出て再度高瀬川に向かい、川沿いを下り四条まで出て花街先斗町を散策した。男ってのはいつの時代も、、、。
 「悪代官ごっこ」が出来るお座敷遊びはないのであろうか。
 越後屋に捕らえられた娘の帯を解き、「あ~れ~」とくるりと舞う、、、。こんな遊びがしてみたい、私。ほんと馬鹿っ。


 時代劇で作り上げられたフィクションであり、実際には商人と結託し悪事を働くような代官はおらず、薄給にも関わらず領民の為に勤め上げたのだが代官である。


 小説、テレビドラマで多くの歴史上の人物、団体が取り上げられる。過剰な表現であったり、創作ももちろん入ってくる。娯楽として、フィクション作品として楽しむには何も問題ではないが、見る側に史実として伝わってしまい、誤った認識を植えつけてしまうことは問題があるように思う。


 歴史上の人物、団体のファンと言う方の多くは、その作品のファンであることが多いのだと思う。
 NHKの「大河ドラマ」も史実とは異なることが多いのだ。


 その後、川原町通りに出て、陸援、海援両隊の隊長が暗殺された近江屋を当たった。石碑と説明書きがあったのみで、誰一人立ち止まる通行人がいなかたのが少々残念な気もする。


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 さて、どうしよう。時刻は15時を回ったとこで、輪行すれば今日中に自宅に戻ることが出来る。また、この地で宿を取り、自転車の走行で帰路に着くかだが、長い距離の自転車走行した私は、もういっぱい、いっぱいで自転車を楽しむゆとりがない。この先、滋賀と三重の県境には、魔の鈴鹿峠も待ち伏せている。駅に向かい、自転車を袋詰めにした。


 列車を乗り継ぎJR四日市駅に着いた私は、通い詰めているブルーズ・バーに身を置いていた。マスターの人柄と、大好きな黒人音楽が長い旅で疲れた私を癒してくれる。


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                         Dolce(デザート)終り

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