紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 日本酒3

 吟醸、大吟醸に至っては増量目的ではないと言う製造側の言い分にも触れなければならないが、そもそも自然の持つ力で作られる醸造酒に、人為的に造ったアルコールを添加し、それが認められる国であっていいのか私には疑問だ。アルコール添加された日本酒は、スピリッツを蒸留酒全般と定義するならスピリッツにも属さない「その他の酒」であるのが妥当だ。日本が鎖国制度であるなら自国だけの取り決めで十分だが、国際社会の一員を自負し先進国を気取るなら許される行為ではない。



木村充揮×近藤房之助 - 酒と泪と男と女


「何できちんとした技術もあって、そんな酒をつくるのですか?」



「儲かるからですよ」



「儲かるからって、ドイツでいい加減なビールなんてないですし、隣のフランスでもとても厳しい基準があってワインが造られています」



「おっしゃる通りですね。それが世界に通用する基準だと思います。これが、まだまだ日本が世界から信用されず、信頼を得られない要因のひとつだと思うんです。それに、食品でも増量目的で混ぜ物など当たり前で、1kgの豚肉から1.2kgのハムが作れますか?鶏肉に大豆のかすから取ったタンパク質注射してブヨブヨになった肉を添加物で固めて唐揚げ作りますか?そんな製法日本だけですよ。儲かれば何でもするのが日本です」



「それが日本の技術であって企業努力なのですか?混ぜるアルコールだってまともなものではないだろうし、添加物だらけの食品食べさせられて健康はどうなるんです?」



「国にとっても企業にとってもどうでもいいんじゃないでしょうかね。ドイツは日曜日にデパートなど営業していますか?」



「いいえ、休みです。従事される方を重んじますから」



「ですよね、でも、日本は年中無休です。従事される方のことなど、どうでもいいんです。健康被害があることを承知で工場では『流れ作業』を辞めることはしませんし、効率最優先です。伝統も文化も関係ありません。儲かれば何でもやって伸し上がってきた国ですから」



「なあマスター、吟醸酒にアルコールを添加する理由はなんだ?」



「そうですね、私は誤魔化し以外なにものでもないと思っています。ある権威が日本酒は『端麗で辛口』が良いと言ったんですけど、自分の判断など持たない日本人はそれが良いものと認識します。この味を出すのに、アルコールを添加して水で薄めたものが丁度良かったんです」



「増量ではなく、味ならまだ救いだな」



「そうですね。ただ、そのアルコールがどうやって作られるのか開示しないとだめですよね。それで何を選ぶかは消費者の自由です。誤魔化しや曖昧な表示があってはならないのです。それにアルコール添加した時点で醸造酒とは呼べません」



「そやな。フランスでそんなワインが作られへんかったから、世界から信用され信頼も得た。ビールと言われればドイツが真っ先に頭に浮かぶ。今、飲んでいるジャックにしても製法を守ることで信用され、テネシーウィスキーとしての信頼があって楽しめるもんや」



「日本基準から世界に通用する基準を作らなければいけませんね」



 アルコール添加や三増酒、今回話しはしなかったが、無意味な等級制度、活性炭素、白糠糖化液の使用など多くの問題を抱え日本酒の歴史がある。そして今、地方の小さな蔵元から真面目な酒造りが始まっている。この素晴らしい酒造りを後世に残して行きたいものだと私は思う。日本酒はフランスのワインのように世界に誇れる素晴らしい酒だ。



「マスター、くだらない物語書いていないで、またどこか旅に行って美味しい日本酒買ってきてくださいね」



「・・・・・」



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