紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

Dolce 古き良い時代


 宿を出て、駅に向かい輪行して移動しようか、自転車で走るか悩んだのだけれど、十分に休息を取った身体は、自転車での移動を望んだみたいだ。


 今回の旅の目的は、残す一点を除き達成することが出来た。いずれ消え行くであろう街を象徴する屋台での食事、日本の歴史上、いや世界の歴史上、目を背けてはならない2箇所、それに2日間に渡り往復した海道でのサイクリングだ。最後の目的地は自宅であり、その道中を楽しむ旅の始まりでもある。


 市街地を抜け幹線道路に入ると、交通量は増していき、排気ガスが充満したタンクの中に閉じ込められたような感覚で、有り余った体力を悔やむこととなってしまった。他事で体力を消耗できなかったことが残念だ。


 県境を越え自転車を走らせると、美観地区なる看板を見つけた。美しい景観には目がない私は、きっとお姉様達で溢れかえっているに違いないと、さっそく向かってみることにした。


「美観を損ねる方の立ち入りは禁じます」


なんて看板があったらどうしよう。きっと入れてもらえない私。


 幸いに検問所はなく、古くからの町並みを保存したこの美観地区に入ると、無機質な近代建築には感じられない、何かほっとする温もりを感じる。


 何かにつけ、新しいものについて行けない僻み根性なのであろうか、多くの古い物に感じるものがある。新たに開発される物は、便利であるが多くのことで質を落としている気がする。これも私の個人的な価値観であり、感じることは人それぞれだ。


 美観地区のレトロな町並みを体感し、排気ガスで溢れる幹線道路に出て見たくもない景観を見ながらの走行だ。
 時間も押し迫り宿を探すと、あちらこちらに1泊2食付で4千円台後半~での看板が目を引き、当たってみると、部屋が確保出来た。価格は5千円台半ばであったが、一般のビジネスホテルに比べればお値打ちではある。


 長い、長い旅で散財した私には、低価格の宿はとても助かる。この際、お姉様と出会う機会を失っても致し方ないとこであり、ホテルで食事を済ませることにした。食事の内容はとても口に出して言えない代物であるが、値段を考えれば諦める他はなく、湯快リゾートがなんてお値打ちなのが身に染みる思いだ。伊豆を拠点にするホテルチェーンでは、飲み放題も付いてくる。人は上を見ればきりがなく、身丈にあった宿を楽しむ他はないのだ。

番外 大好きな映画

 旅の追憶記、第二章が終わって、ちょっと一服っと、、、


 果たしてこの紀行文を読んでくれている方がみえるのかどうか 少し不安もあるけど 気にしない 気にしない、、、本当は気になるけどw


 ど素人の綴る拙い文章が 受け入れてもらえるのかどうか、、、


 本を読むことが好きで 高じて 書いてみたくなる


 読んでくれている方がみえるのであれば 心からお礼申し上げます


 さて 今回は息抜きで 大好きな映画を語ってみようかと、、、


 1982年に公開された映画 An Officer and a Gentleman 
 直訳するならば 士官と紳士 なんだけど 邦題に 愛と青春の旅立ち と付けられた映画
 なんとまぁ~ロマンチックな恋愛物を思わせるタイトルであろうか


 確かに物語の中で 遊び から 愛 に変わっていく主人公ザックの心情が展開され ラスト・シーンの お姫様抱っこ に多くの人が涙したことであろう
 私も何度泣いたことか、、、


 邦題から見ればここに主眼を置き 売りたかった映画であろうが 原題から察すると決してここにはないような気がする
 イケ面男優と綺麗な女優が、まぁ~それなりの苦難を乗り越え愛を育むなんて映画には 私はまったく興味がない


 あくまでも私の個人的な解釈であるが この映画の見所は なんと言っても教官ウォーリーが 個人主義者であるザックを士官として相応しい人間に育て上げる過程にこそあると思う


 ウォーリー役を演じた ルイス・ゴセット・jrの演技力が実に素晴らしい


 良家のお嬢様である同じ候補生シーガーの 有色人種を意識しない振る舞いと 過酷な環境で育ったザックの振る舞いを対比させ 差別と言うものがどこから生まれてくるかも切り取っているのかもしれない


 単なる恋愛映画ではなく 奥の深い映画だ


 主題歌を歌ったジョー・コッカー&ジェニファーちゃんが また良すぎだ


Second piatto ご当地ラーメン


 楽しかった飲み会の翌朝は、なんだかぽっかりと穴が開いたような不思議な気分だ。女性たちは朝早くに出発の予定と話しており、すでに宿を後にしているであろう。


 電話を見るとメールの着信を示すランプが点灯し、確認すると、昨夜の女性からのメールであり、心温まるものを感じる。人の煩わしさと温かさが心の中で交差する。


 人は、人に頼り、頼られ生きていけるのかもしれない。


 身支度を整えホテルを出発して、昨日来た道をひたすらに戻るだけである。昨日同様にサンライズ糸山に立ち寄り、コーヒーを楽しんでいると、昨日声を掛けてくれた男性達と再会だ。お互いの健闘と無事にサイクリングを終えられることを願い、それぞれに帰路に着くことにした。


 寄り道はほとんどせず、所々に休憩を挟みブルーライン沿いに走り渡船場に着くも、昨日船を降りた場所とは違う。船を待つ方に尋ねると、公が2、民が1で3箇所の渡船場があると言う。渡った先は駅前の中心地から外れ、駅に向かうまでの間に新たな発見も多く出来たのだ。


 予想より早く駅前に辿り付き、整備された岸壁でのんびりと過ごし、このサイクリングを思い起こす。美しい景観を眺め物思いに耽ることも、私にはとても有意義な時間である。
 岸壁のフェンスに立て掛けた私の自転車の近くで、一人の女性が海を眺めている。この後ろ姿もまた美しい景観だ。


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 辺りを散策するも特に興味を引くものはなく、この地もご当地ラーメンで有名な場所であり、食べずにこの地を去ればきっと悔いが残ってしまう。駅の近くにあり寄ってみることにした。
 店内は15時をとっくに過ぎているが、かなりの客で賑わっている。カウンターに座りビールとラーメンを頼んだ。


 ラーメンはとても不思議な食べ物だと思う。地域はもちろん、お店ごとにそれぞれ特徴を持ち、スープの原料も、味付けの調味料も違えば、具も変わる。形があまりにもあいまいで楽しいのだ。


 ご当地ラーメンとして名前は聞くが、何の知識も持ち合わせておらずどんなラーメンなのか楽しみだ。
 ラーメンが出されるとぷにゅぷにゅしたものが多く浮かんでいる。背油を煮込んで味付けしてあるのだろう。大き目のチャーシューにメンマとねぎの具である。チャーシューは少し薄すぎな感もあるが、分厚いチャーシューよりは良い。
 スープは澄んだ醤油味であっさりして、どことなく魚介類の香りが漂ってくる。鶏がらか、豚骨を濁らせないように出汁を取り、魚介類のスープを合わせているのであろう。麺は中細のストレートだ。


 駅ビル内にあるラーメン店で、さほど期待はしていなかったが、とても満足できるものであった。これがこの地のラーメンだと言う確たる定義は、魚介のスープを併せることと、この背油なのだろう。数軒も食べれば答えは出るのだろうが、ラーメンばかりも食べていられない。


 二日間に渡っての長い自転車の走行は、飲みすぎもあり、早めの休息を身体が求め、この地から移動することなく宿を当たった。


 普段テレビを見ることはほとんどないのだが、何気なく付けて報道番組に合わて見ていると、元ウルグアイ大統領ムヒカ氏が慰霊碑前で黙祷する映像が映し出されている。画面を食い入るように見たものの、知的な女性を見つけることは出来なかった。
 
 氏とお会いできたことを願うばかりだ。


                          Second piatto(第二の皿)終り