紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 人災2

「ですよね、大きくは何も変わらないですよね。先ほどおっしゃられたように、人は一度手にした物を手放せないし、変われないんです。原発の再稼動に反対される方も多いと思いますけど、国、企業、個人がそれぞれの立場で、原発を不要なものとして行動しているか、私にはとてもそう思えませんね」


「24時間開いてるスーパーや、コンビニも増えてますし、冷凍食品のスペースは増えて、おまけに店は年中無休。エアコンはどこも効きすぎで寒いくらいで、トイレはいつも温かな便座が待ってくれている国で、オール電化の家も多いですもんね。パチンコ屋さんとかのネオンも派手だし、閑散期のテーマパークなどがイルミネーションで客集めをすればそれにどっと人が押し寄せて、、、」


「火力発電は地球温暖化の温床、太陽光ではコストがかかり過ぎで頭打ち、安く電気が生産できる原発が日本の電気使用を考えたら一番です。電力会社も儲かって国には税金がどっと入りますし、原子炉を作ってる会社も潤いますよね」


「震災で多くの犠牲者が出てしまって、原発がなければもっと復興も早いだろうけど、それに合った生活は、もう日本人には無理だってことですよね」


「国、企業、そして個である国民が求めてしまってるんだと思いますよ。世の中のほとんどのことが相対で成り立っていますから、得る物があれば失う物が必ず出てきます」


「マスターは原発は賛成なんですか?」


「賛成とかではなく、今の日本を維持して行こうと思えば必要なんじゃないかって思います」


「原発をやめる国もあれば推進する国もあってそれぞれですね」


「推進の筆頭はフランスで、事故は起こりうるものとして徹底した危機管理の下に運営してますけど、日本は絶対的な自信で、100%安全だなんて言い切って運営してましたから、そのスタンスがもうすでに違いますよね。日本は原子力の恐ろしさを世界で一番理解している国のはずなんでが、日本の指導者がいかにお馬鹿さんなのかがよくわかりますよね。日本国民も同じで、自国であれほどの事故があっても電気は使い放題で、早く原発をフル稼働させてくれって言ってることと同じですよね」


「やはり日本人にとっても対岸の火事でしかなかったんですね」


「電気に頼り過ぎない生活で、ある程度戻せる部分は戻すことが私の理想なんですけど、個のレベルで多くの人が実践してくれることを望みますね。夏は暑い、冬は寒いのが当たり前で、お歳を召して体力が衰えたり、病気の方、冬は氷点下の厳しい寒さの地の人が、電気を惜しみなく使えばいいんです」


「日本人は対岸の火事で他人事って言うよりも、他人の不幸は蜜の味って思ってる人が多いかもしれませんね」


「仕方ありませんよ、それを国民に植え付けてきたのは日本の指導者、教育者ですから」


“Soul bar-IORI” 人災1 

 「震災を忘れないで」


 昨日、この言葉を何度か見聞きした。誰が誰の為に発信している言葉なのであろう。
 衝撃的な状況を体験したものにとっては、精神的に自らを苦しめる体験は忘れたいものなのではないであろうか。私なら忘れたい。だが、実際にあの恐怖を目の当たりにした者であれば、忘れたくても忘れることなど出来ないであろう。
 犠牲者となった方への追悼の意味なのか。死者を偲ぶ気持ちは大切であるが、自然災害は毎年のように起こる事。犠牲者が少ない案件に関してはどうでもいいことなのか?自分の身内、親近者以外であれば、それほど深い悲しみに暮れることはおそらくないであろう。
 当事者以外に教訓を与えるべきものなのであろうか。自然災害は人の手で食い止めることなど出来やしない。
 報道する側が、視聴者に目を向けさせるために発している言葉なのかもしれない。当事者以外の人の記憶など大したものではない。


 BGMはこの曲で、、、何か違うか、、、



 カラン、カランとドアの呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると彩香が顔をだした。いつものように紅茶を頼み、昨日中、多くのテレビで取り上げられた震災について語り出した。7年前の彼女は中学卒業の年だったと言う。



「それぞれ向かう進路を決めて旅立ちをしようってときに、同年の被災者には特に感じる物があるな~。でも結局ね、何もしてあげられなかったし、災害が自分の身に降りかからない範囲で起きたことを『よかった~』なんて正直思ったりもしたんですよね。今思うとそんなこと考えてた自分が無性に嫌になるんです」



「でもそれは仕方ないことだと思いますよ。海外の人であれば、自国でなくて良かったって思うでしょうしね。親近者に被災者がいなければそれでよしって考えてしまっても仕方ないんじゃないでしょうか」



「みんな悲しみを表すけど結局は対岸の火事ってとこですかね」



「歴史には多くの犠牲者があって成り立つ物がほとんどなんですよね。でも、その教訓を生かせずに同じ事を繰り返してしまうのが人間の浅はかさだとも思いますよ。それは多くの人が対岸の火事って認識があるからじゃないでしょうかね。まったく学習能力がないのが人かもしれませんよ」



「でも、自然災害なんて防ぎようもないし、どうすることだって出来ないじゃないですか」



「そうですね、自然災害は防ぎようがないですよね。ただ、自然から見れば災害でもなんでもないことが、人から見れば災害になってしまう。先ずここが根本に間違っていることじゃないでしょうかね。人にはただ自然の中で生かされてる生物のひとつだって認識がありませんから、自然の摂理に反した行いを繰り返してより被害を大きくしてしまってることも多いと思いますよ」



「あっ、原発なんてそうですね。あんなものがなければ助かった人もいるわけですからね、人災ですね」



「おっしゃる通り原発事故は人災ですし、人が造った物で命を落とされた方も多いと思いますよ。文明を発展させ、より多くの物を手に入れようとした場合、その反動も大きいことを忘れちゃだめですよね」



「多くの被害者の下に今の便利な世の中は作られているし、一度手に入れた便利な生活を捨てることもできませんしね」



「原発がなければ多くの被害は防げましたけど、原発の必要のない世の中を創ろうとは誰も思いません」



「原発って必要なんですかね」



「原発事故の後、私達日本人は何か変わりましたか?」



「う~ん、特には、、、」



                                      続く


“Soul bar-IORI” むらさき4

 亜鉛とは金属であり、人にとっての必須ミネラルの一つで無くてはならない物。体内で製造されるわけではなく、食物での摂取が必要だ。ただ、無くてはならないものではあるが、「頑張らなくっちゃ!」などと摂取のし過ぎは、急性亜鉛中毒や、継続的な過剰摂取で銅、鉄の吸収を妨ぎ、人体に悪影響を及ぼしてしまう。まぁ、今更そんなに頑張らなくても、、、何を?ただ、不足してしまうと、亜鉛欠乏症などと言われ多くの障害を招き、その中に味覚障害も含まれる。欧米人にはなかなか理解出来ない旨みがわかる舌を失ってしまうことでもある。


 人にとって大切なミネラルは土壌や海に多く、植物や海産物から簡単に得ることが出来る。しかし、食の欧米化や化学肥料に頼る農の変化がミネラルのバランスを崩し、食品添加物の多用が崩壊へと導いているのではないか。食の変化からアレルギー疾患が増えたりしたことは、何かしらの因果関係があるのだと思う。繊細な舌だけではなく、身体自体も蝕んで行く物なのかもしれない。


 食品添加物の悪だけを見て排除されるべきだとは言えず、腐敗を防ぎ、食中毒を減らすなどの恩恵をしっかりと受けていることも忘れてはいけない。人が今の世の中、普通に食生活を送るだけで、食品添加物の摂取は防ぐことなどできやしない。ならば大切なのは、相手を知りどうバランスを取るかなのではないだろうか。


 多くの植物には野菜も含め自己防御のために毒素がある。そして人の身体には毒素を分解してくれる臓器が備わり、健康体であればこれらの微量な毒素は何も問題なく処理をしてくれている。ただ、必要以上に化学物質の毒素を分解してくれと言っても限度があり、オーバーワークで肝臓は壊れてしまう。一日三食、添加物まみれの食事をしていれば、ダメージを受けても致し方ないことだ。


 後、EU諸国には黄色5号の着色料を含む食品にはこのような表示があるらしい。
‘Sunset Yellow may have an adverse effect on activity and attention in children.’
「黄色5号(サンセットイエロー)は子供の活動や注意に悪影響を与える可能性があります」
 子供がキレやすく、陰湿ないじめなどが後を絶たないのは、何か関係があるのかもしれない。他国で使用禁止の添加物が日本で使われていたり、あまりにも情報公開が少ないのが日本の現状。日本の政治家はいったい何が守りたいのであろうか、、、


 人は多くの便利な物を創り上げて発展してきたのであろうが、自らの身体、心をも蝕んでしまうものが発展なのであろうか?私にはそうは思えない。何も新たな物を開発するだけが正義ではなく、わび、さびを理解出来るのも日本人ならではのことだ。中国の思想家孔子も教育者のあるべき姿として、「温故知新」を説いた。
‘He that would know what shall be must consider what has been’
「将来の事態を知りたいのなら、過去の経緯を考察せねばならない」


 日本がより強い日本であるには、欧米列強の上っ面だけを見て真似するのではなく、伝統を守ることも大切だと思う。日本の食文化を築いてきた醤油は、日本人にはなくてはならないものだ。それを粗末にし守れない国に、いったい何が出来るのであろうか、私にはわからないことが多すぎる。走り過ぎてしまったことは戻ることも大切だ。