紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 豆3

 古来から人は食べ物の保存に多くの知恵を得ていた。苦労し手に入れた食材を無駄にすることなどはしない。食い溜めできる身体であったり、お腹が空いたらすぐにコンビニで食材、食料が手に入るわけでもない。乾燥、塩蔵、燻製、灰なども利用し食料の保存をしてきた。後、葉っぱで包むことも保存性を高めた物だ。


 そして、発酵させることで保存を高める方法。微生物の存在など何もわからない時代から、発酵がもたらす恩恵を人はしっかりと得ている。微生物が生命維持の為に繰り返す行為、栄養を吸収し排泄する。これは植物が二酸化炭素を取り入れ、酸素を排出する行為と同じ様な事。人にとってとても大切な栄養素を含み、そして、尚且つ美味しくしてくれる物が微生物の生産物だ。人も地球上に生きている生物であり、他の多くの生物の恩恵を受け共生しているだけ。地球は人だけのものではなく、他の生物が生産してくれる物を得なければ、生命の存続はあり得ない。コンビニがあるから生きて行けるのでは、決してない。


「納豆は3パック入りで売られてるものがほとんどで、賞味期限が短いんでよく冷蔵庫の中で忘れ去られてダメにしちゃうんですよね」


「あ~、確かにありますね。でも納豆としてのあの品質は失われるかもしれないんですけど、十分に食べられるものなんですよ。捨ててしまうのはもったいないです。それに納豆菌は熱にも寒さにも強くて、冷凍保存もできるんですよ」


「買ってきてすぐに冷凍しちゃえばいいんだ。忘れてた納豆は何か白いぶつぶつのカビが生えてましたよ」


「あれはカビではなくて、チロシンって呼ばれるアミノ酸の結晶なんです。まぁ、効能などは確証が持てず、それに、あれにはいいけど、これにはダメってものも多くてあまり私は人に伝えることはないんですけど、チロシンは脳の細胞も活性化するなんて言われてますよ」


「カビじゃないんだぁ~、でも匂いがきつくなって、、、間違いなく腐ってましたよ」


「確かに納豆菌が自己消化、つまり、自分を自分で分解するんですけど、そのときにアンモニアが発生しますので、匂いはきつくなりますけど、まったく問題ないものです。匂いが気になるなら、お味噌汁に入れて納豆汁なんかにすればほとんど気になりませんよ。後は、もうそれこそ冷蔵庫に一ヶ月以上放置してかりかりになるのを待つんです。それをチロシンも一緒にすり鉢で下ろしちゃって、ご飯の上に振掛けてお醤油かけて、それで美味しく頂けますよ」


「そうなんだ、何でも思い込みって言うか、決め付けてはダメですね。今度納豆忘れてたらやってみよ。なんでもかんでもダメになったって捨ててしまったらダメですね」


「そうそう、家庭内廃棄をしないように努めることはとても大切ですよ。なんでも新しいのが美味しいですけど、今日の朝に頂いた納豆は2月22日の賞味期限でしたよ。まぁ、私はこれらのもので身体に異変が起きたことはありませんが、あくまでも自己責任でお願いしますね」


“Soul bar-IORI” 豆2

「美味しい物が日常だったら、美味しい物はなくなっちゃいますもんね」


「決して私の日々の食事が美味しくないってことではないですよ。美味しくなるように自分の持ている知恵、技を費やして作ってますから。食材がそれほどかからないので、調味料は本物の良いものだけ揃えることが出来るんです」


「原材料も安心、安全の国産を選ぶことも出来ますしね」


「う~ん、加工品は国産表示って50%以上国産であればそう表示できてたんですよね。去年ようやく改正されて4年ほどかけて今後修正していくようですけどね」


「え、そんなもんなんですか、、、日本って国はいったい、、、でも、それって詐欺じゃないですか」


「日本政府が決めて、そのルールにのってやっていることですから、騙してはないですね。勘違いする方が悪いんです」


「そんなのおかしい!」


「ここをどこだと思ってるんですか?日本ですよ、日本。お馬鹿な指導者が導いてる国ですから、そんなことは何も不思議なことではないですよ。ほとんどの商品が国産表示ですけど、そもそも大豆の国内需給率って6%しかありませんので、有り得ないです」


 私は日本の農作物が安全とは思っておらず、それほどまでに国産に執着することはないが、地産消費の観点から国産を選んではいる。農薬の使用量を見れば中国、韓国、日本が飛び抜けて多く、国産農作物の安全は自国製品を愛するがあまりの思い込みか、外国産が危険と言われ、鵜呑みにしているだけかもしれない。または、日本人の奢り?


 昔、昔、日本の水田の畦道にはたくさんの大豆が植えられていたと言うが、もうその姿を見ることはない。大豆の根には多くの微生物が住み着き、大豆から送られる栄養でアンモニアを作り出す。そのアンモニアを大豆は吸い上げ、タンパク質に合成し、大豆には良質なタンパク質が多く含まれる。そして微生物が生産したアンモニアは水田にも流れ、稲の栄養となっていく。化学肥料などない時代にはうまく共生ができていたのであろう。味噌、お醤油、豆腐など大豆を原料に作られるものは日本人にとって馴染みの深いものばかりだ。


 味噌、お醤油は微生物が大豆を発酵させた調味料であり、発酵が複雑な味をもたらしてくれる。ただ、今の日本にその製法が守られている商品など多くはない。化学の力恐るべし、だが、味も違えば、食品添加物の多用も懸念される。日本が世界に誇る調味料は、日本人が伝統を守り受け継いでいくべき物ではないのであろうか、、、悲しい姿に落ちてしまった日本の伝統だ。


 調味料だけではなく、大豆は多くの加工品食品の原料である。水に浸した豆をすり潰し、水で煮て豆乳が出来上がる。豆の乳であって、赤ちゃん、野郎共がこよなく愛すお乳の豆ではない、、、馬鹿っ!


 その豆乳ににがりを加え固めた物がお豆腐。また、このお豆腐を凍らせた後に脱水する行程を繰り返し、出来上がるのが高野豆腐。一枚で豆腐4丁分ものタンパク質を誇る素晴らしい食品。そして、豆乳ににがりを加えずに煮るとタンパク質の薄い膜が出来上がる。これが湯葉で、豆腐の栄養分だけを凝縮したような素晴らしい食品だ。


 あと、大豆から作られる代表的な食品は納豆であろう。


                                      続く


“Soul bar-IORI” 豆1 

 豆とはマメ科植物の種子のことで、人々は穀物と同じように古くから作物としてきた。広義には豆は穀物の仲間であるが、何も生物学を勉強するところではなく、ただの飲み屋。多種多様の豆があるが大豆のお話でお付き合いを、、、


 春が訪れ、すぐに暑い夏がやってくる。枝豆とビールを楽しみにしている方も多いであろう。枝豆と大豆、これ実は同じ物で、枝豆はピチピチなお姉ちゃんで、大豆は熟女って感じで、、、いや~どちらにもそれぞれに味がありよろしいですなぁ~、、、おいっ!


 BGMはこの曲、何でって感じ、、、



The Crusaders & Randy Crawford - Street life (video/audio edited & remastered) HQ


 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、優子が顔を出し、大好きなハーパーのロックを頼み、楽しんでいる。バーボンの主原料はとうもろこし。酒の原料の話から多くの穀物、果実で酒は造られているが、豆から造った酒がないのかと話に移っていた。


「醸造に必要なのは糖ですし、タンパク質が多いですからね。タンパク質が分解されれば匂いのきついアンモニアが発生しますし。ただ、枝豆焼酎とかあるみたいですよ、私も飲んだことないですけど。後は第三のビールでえんどう豆使ったものが私の知るぐらいですね」


「あ~タンパク質かぁ~大豆を畑の牛肉って言うぐらいですもんね」


「とても栄養価の高い物ですし、ほら、日本人はまだまだ肉食の歴史が浅くって、肉を十分に消化吸収できる酵素持っていないんですよ。民族の持つ遺伝子で、日本人がタンパク質を取るには大豆が一番ですよね。動物性も当然必要ですから魚ですね」


「え?民族の持つ遺伝子なんてあるんですか?」


「もちろん。顔が先ず違いますよね、それに赤ちゃんは青い斑点ありますよね、あれだって私達日本人はモンゴロイドの遺伝子を持っているからなんです。アングロサクソン、ゲルマン共に蒙古斑はありませんよ」


「そうなんだぁ~じゃあ、クリスティーネも無かったんですね」


「それに、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人が日本人には多いんですけど、乳糖を分解する酵素の一種であるラクターゼが、乳離れする頃には弱ってしまうんですね。牛乳がだめでもヨーグルトならお腹がゴロゴロしな人がいるのは、乳酸菌が分解してくれてるからなんです。健康でありたいと願うなら、民族の持つ遺伝子も考えないとだめですよ。身体に無理をさせれば、必ず支障を来します」


「それで食の欧米化が蔓延して病気が増えてしまうんですね。日本人にジャンクフードとかは合うわけないんですね」


「ジャンクフードが合う人なんて、紛争地帯にでも行かない限り誰もいませんよ。普通に生活しているアメリカ人にも合いません。あれは元々、歩兵の戦闘要員の食事に開発されたもので、過酷な情況の中で摂る食事なんです。それに決まった時間に食事が出来ることもありませんから、高カロリーの物を一気に摂取するためで、三食何不自由なく食べれる情況での食事ではないんです。ジャンクフード食べるなら、生死をかけて野山駆けずり回って、一日に一回食事が出来るか出来ないかぐらいで丁度いい食事です」


「ジャンクフードは何日も食事が出来なくても、それでも過酷に身体を動かさないといけない人の為に考えられた食事なんですね。それは普通に食事ができる情況では、ただの食べすぎと同じかぁ~、そりゃ身体が壊れてしまいますね」


「本来食事は生命を維持させる為に摂るものですよね。それで生命を縮めていたら本末転倒です。ただ、人の食べる楽しみは、生命維持だけではなく、美味しい物を食べることで得られるものもありますから、それはバランスです」


「普段の食事には生命維持のため、そしてたまに贅沢をしてってぐらいですかね」


「そうですね、美味しい物を食べずに我慢することも、身体には良くありませんからね。私が心がけてることは


『日々、野菜と豆、たま~に魚で忘れた頃にお肉』です。


これで10代後半と比べて今の体重は4kgほど増えていますけど、怪我以外で医者にかかったことはありませんよ」


                                      続く