紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 女と男3 


 女性の勘は鋭いものだ。思考回路が単純な男に比べ、言葉だけではなく、表情、しぐさなどからも多くの情報を得て、物事を判断する。これは言葉を話せない赤子を育てる為にも必要不可欠な能力であり、女性としての本能がもたらすことだと思う。子供を育てた経験がなくても、言葉を話せないペットと意思疎通が上手く図れるのも圧倒的に女性が多い。言葉はとても大切であるが、心にもない言葉は簡単に見透かされてしまう。


「BGM替えますね。また日本の曲です。難解ではありますが、何度も聞くと歌詞の意味がなんとなく理解できますよ」



矢野顕子 - ラーメンたべたい
「あ~、ラーメン食べに行こうよ、この後で」


「こら、明日香、そんな歌、違うでしょうがぁ~」


 具体的な話は避けているが、彼と別れたばかりの明日香は、彼の言葉は出任せばかりで信用できないと話し、こう続けた。


「私が別れるって言ったらそのときは納得したんだけど、後がしつこいのよね、男って。何度も謝るんだけど、もう、どっちに非がある、ない、じゃなくって、許すも、許さないも、とっくに気がないから」


 普段の会話で結論を求めない女性は、一旦自分が出した結論はよほどのことがない限り曲げることはしない。一方、何でも結論を出し、白黒はっきりつけたがる男は、一度出した結論をころころと変えることも多い。こと女性に関してはいつまでも引きずり結論を出せないでいるか、出さないようにしている。多くの女性は軽はずみな行動はせず、しっかりと見極めて結論を出しているのであろう。


 現在、付き合っている彼はいないと話す彩香は、過去に付き合ってきた男達に共通の不満を持っていたようだ。


「男ってさ、何でも早く決めないと怒るのよね。で、自分で決めておいて後悔したりさ、ほんと馬鹿かこいつらって思うわよ。買い物なんか絶対に一緒に行きたくない。それで一人で買い物行くって言うと、なんか変に勘ぐったりね。最低よね男なんて」


 確かになかなか決めない女性に対し、イライラさせられることは多い。男は単調であり、あまり細部には拘りを見せずに総合的な判断を即決で下す。これは右脳しか働いていない為だ。そして、女性は右脳と左脳をバランスよく働かせ、一つ一つを検討し結論を出していく。女性が多くの話題で会話が出来るのも、言語を司る左脳だけ働かせるのではなく、右脳も活発に働いているからだ。


 いろいろなことを踏まえ見ていくと、どうも女性に分があるような気がする。腕力に物を言わせ、女性を服従させようなど決してあってはならないことで、古来より女性を下に見る傾向があったのは、女性が優位であることを男が理解していたからかもしれない。子が未成年であるにも係わらず、本来のあるべき姿から逸脱した野生動物以下のメス以外、女性を立てることがよりよい関係を築き上げていくのだと思う。

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