紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 映画4

 テレビ局が映画の製作に携わるようになり、質は変わりテレビドラマと何ら変わらないものが作られるようになったと感じる。私には今の映画に劇場に足を運び高い金を払ってまで観る価値はないが、劇場に足を運ぶ方も多くそう思わない方がいるのも事実だ。興行収入から見れば決して衰退ではないであろう。高倉健の最後と共に劇場から遠のいている私と、お目当てのテレントが出演し、劇場へ足を運ぶ方と感覚にさほど差はない。


 多くの映画館が幕を下ろし、映画が空前の灯火であったものを救ったのは複合型の劇場(シネマコンプレックス)の登場やテレビ局の製作介入であろう。テレビ局が映画を救ったのも紛れも無い事実だ。


 私の住む四日市は、不定期であるが「三重映画フェスティバル」が文化事業の一環として開催される。上映される映画は旧作で、フィルム代も安いのであろう、入場は無料か500円程である。ロードショーとして観た映画は「あなたへ」が最後であるが、一昨年11月、どうしても観たい映画の上映があり、祝日開催で私は仕事の為、仕事を休み会場へと向かった。


 午前の部は2009年のヴェトナム映画「Don't Burn~トゥイーの日記を燃やすな」で、入場は無料だ。客席にはおよそ3~40名ぐらいが入っていただろう。文化会館と言うある程度のキャパのある会場だけに心なしか寂しいものを感じた。


 ヴェトナム戦争を扱った映画は圧倒的にアメリカ映画に多く、ヴェトナム映画はそれほど数はないと言う。アメリカ側から見れば負け戦であり、反戦を唱える人も多く題材としては受け入れられやすいのだろう。対してヴェトナムは戦争を後世に語り継ぐことをしないと言う。事実、ヴェトナムの若者と縁がありその中の一人の父親が軍人であるが、戦争のことを聞かされることはないと私に話した。


 午後の部は、昼食を取れる時間を挟み500円の入場料を払い席に着いた。客数は100名近くがいたと思う。四日市出身の脚本家「長田紀生」が手がけた作品で監督は深作欣二の「軍旗はためく下に」上映後にはゲストの長田氏のトークショーも行われた。


 映画の内容はこれから観る機会がある方や、本を読まれる方もいるかもしれないので二本共に記述はしないが、最後のトークショーの中で観客との質疑応答での長田氏が語った言葉が印象深かった。


観客<深作監督はこの映画と同時期にトラ・トラ・トラの監督をしてて、内容は相反するところがあると思うんですが?>


長田氏<《トラ・トラ・トラ》は仕事として依頼のあったものを受けていて、そのギャラでこの映画の撮影権を深作さんが個人で買い挑んだ作品です。どうしてもこの映画が撮りたかったんですね>


「これほどまでに映画に情熱を傾けられる監督や、映画でこそ自分の価値があるんやって言う高倉健や菅原文太みたいな俳優がいて、テレビ局が映画の本質を見極めるか、金を出すけど口は出さんってなれば、また、いい映画が観れるかもしれへんな」


 私の大好きな映画のBGMでしめよう。カテゴリー「コラム」の中の「大好きな映画」で紹介済みの曲だ。(と、さりげなく過去記事の宣伝をしてみる)



Joe Cocker - Up Where We Belong

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