紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 映画2

「映画の製作にテレビ局が介入して、それでも、まだ最初の頃は映画として楽しめたんですけど、私にはもう限界を超えてしまいましたね。明日香さんがレンタルで十分で、旬を気にしなければ映画館に行く必要がないって感じたのも、そんなところにあるんじゃないでしょうかね。もちろん衣食住に関係のないあくまでも娯楽ですから、各個人が好きに楽しめば良いことですけどね。GBM替えますね」



ゴースト ニューヨークの幻 主題歌 -Unchained Melody-


「テレビ局の介入ですか、、、確かに今回観た映画も製作はテレビ朝日が携わってますね。でもテレビ局の介入と映画の完成度が関係あるんですか?」



「私的には多いに関係があると思っています。ほら、テレビってそのときの視聴率がすべてで番組が製作されますよね、で、その作り方が映画にも表れてしまってるんだと思います。映画の持つ斬新なカメララークや立体感ある深みのある映像は、もう観ることができません。もちろん予算的なものもあるんでしょうけど、そのとき売れれば良いみたいな感じがしてならないんですよ。そのときだけを見据えて作られるものに名作はあり得ません」



「あ~、一気に話題になって、半年もすれば忘れてしまうようなものたくさんありますね。それが今の映画、特に邦画に言えることなんですね」



「まぁ、今のアメリカ映画にもあまり興味はないですけど、あと、テレビ局が介入して役者の選択に大きな疑問を感じるのもありますね。何でこの人が選ばれるの?って思うことがたくさんあります。『あなたへ』にもそんな俳優やタレントが多く出ていました。これがテレビ局製作の最もいただけないとこだと思いますよ。あなたへももちろんテレビ局の製作です」



「テレビじゃなくって、舞台で活躍してる素晴らしい俳優さんがたくさんいますもんね。その中からより適したひとを発掘することも映画作りには大切ですよね。人気があれば歌も唄えないのにレコード出せたり、ろくな演技も出来ずにテレビドラマで演技してる人がいるのが日本の芸能界で、それで映画にも出演出来てしまいますからね」



「まったくその通りですね。ハリウッドに出るような俳優はずっと演技の勉強をしていますし、表現力がものすごく豊かですよね。当然「そのとき」に合った起用もあるでしょうけど、ベースがちゃんとあります。でも日本は、昨日まで普通に街を歩いてた人がスカウトされて映画にでたり、バラエティ番組で遊んでるしか芸のない人が映画にも出ますしね。まともな演技が出来るわけがないんです。それに高倉健さんって俳優は、テレビドラマと映画を分けていた人で、テレビで演技することは過去に数本あっただけですよね」



「あ~テレビドラマで観た記憶はありませんね~。テレビ中心に世の中は動いていきますもんね。人気タレントが映画に出ればそれで劇場に足を運ぶ人もいるでしょうしね」



「そこが映画の価値を結果的に下げてしまったんだと思いますよ。それに映画の題材も小説はよいとしても漫画で人気があったり、テレビドラマで人気があるものを劇場版として製作したりしてすでにあるもので作っていきますよね。作る側も観る側も安心を求めているのかもしれませんね」



 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、新規の女性が一人で顔をだした。



「いらっしゃいませ。お好きなお席にどうぞ」



 女性は明日香と席をひとつ空け座り、飲み物を悩んでいる。



                                       続く

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