紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

大海原 Primo piatto 幸先の良い旅


 適当に準備をして、私は列車に乗り込んでいた。もちろんチャリンコも一緒である。


 以前、旅行するときなどは、日数分の着替えや使いもしなかった物をいっぱいカバンに詰め込み出かけていたが、チャリンコで行動し始めると、無駄な物が大きな負担だ。今はチャリンコ用のザックひとつで出かける。どうしても必要になれば現地で調達すればよいし、着替えは洗濯すれば済んでしまう。なにしろ身軽である。


 そもそもパンツなんて人前で脱ぐ機会がなければ、数日は大丈夫だ。でも、靴下は、自分で自分が嫌になるときがあるので、毎日洗います。


 駅に向かう途中、いつものコンビニに立ち寄ると「川島さん」にお会いすることができた(前旅 「癒しの寄り道」で触れてます)。幸先の良い旅の始まりである。


 至る所にコンビニエンス・ストアがあり、少々乱立の感さえしてしまう。中にはいかにも接客に向かないであろう方が、レジに立ってる店舗もある。決して多くのことを望むわけではないが、残念に思うことが多い。


 私がほぼ毎日通うこのコンビニは、素敵な笑顔に、発する言葉もお釣りの渡し方もまったく不快に思うところがない。マニュアルでは教えきれない「何か」を持っているのであろう。特に「川島さん」は美形であり、ポイントが高い。


 今の時代は人との接点を極力省いている。人に不快な思いをさせられるのであれば、人との接点は必要ない。しかし、より大きな満足を与えてくれるのは、やはり人でしかないのだと思う。


 従業員が客を呼べる、貴重なコンビニだ。


 この旅のことは先方には何も伝えてはいない。幸いにも先方は居酒屋を営んでおり、ただの客としてお店に伺えば何も問題ではないであろう。
 伝えておいて行けなくなってしまうことが問題だ。不可抗力で行けないのであれば、お詫びして済むであろうが、私の場合、気が変わって行かない場合も考えられる。途中で何かを見つけ、目的地が変わってしまうこともある。


 旅はそれぐらいで丁度いいのだ。この場合「あてのない旅」では決してない。

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