紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

出来ることならば初話からお読み頂ければ幸いです。

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 連載中

「家族」 挑戦 3


 綾香はアシスタントとして同行できる日を楽しみに、日々、カフェの仕事をこなしながら勉強をしている。
 
 特にレンズの特性に興味があるようで、描写の違いに驚くばかりだ。知れば試したくなるのも不思議ではなく、綾香は英子にカメラを買うことの許可を得ようとしている。英子は、自分が働いたお金で何を買うことも問題はないと前置きし、


「ただ、デジカメはね~手軽で便利なんだけど、私は好きになれないな。もちろん綾香が欲しいと思うものを買うべきで、私には何も強制はできないけどね」


と、デジタル・カメラについては、何か思いがあるようだ。


 実際に、敏也もスポンサーの絡みがなければフィルムを使う。大判、中判、35mm共にポジフィルム*1の使用だ。


 写真館を訪れた際に、佐々木に尋ねても答えは同じで、


「商売だからデジカメ売ってるけどね」


と笑い、


「問題は、綾香ちゃんがどこを目指すかだと思うよ。単に自分の思い出として写真に残したいだけならデジカメで十分だし、綺麗な写真もちゃんと取れるよ。ただ、将来、写真家を目指してっとか、プロではないにしても作品として写真を捕らえるなら、間違いなくフィルムカメラ買ったほうがいいしね。それにね、フィルムカメラ使ってる人のほうが、間違いなく上達は早いよ」


「え、そんなの関係あるの」


「うん、デジカメは買ってしまえば、後はプリントするぐらいでお金かからないでしょ。失敗してもすぐに撮り直せるし」


「だからいいんじゃないの。デジカメ」


「うん、便利だよね。でも安易にシャッター押せちゃうでしょ、お金もかからないから。でもフィルムだと、フィルム代、現像代、プリント代ってお金かかるのよね、シャッター押すたびにね。だから、フィルム使ってる人は、失敗したくないから勉強するし、それに一枚に対する気持ちの入り方も違うかな、考えながら撮ることで上達も早いよ。それに写真の仕上がりは、やっぱりポジフィルムが一番だと思うな、リバーサル・フィルムのことね。でも最後は好みかな。」


 佐々木は、多くの写真を楽しむ人と接して、感じる違いを熱く話すが、綾香にはなかなか理解できることではないようだ。そして現行のフィルム・カメラがプロ仕様しか販売されておらず、高価であり、予算に合うかどうかも問題だと言う。


 綾香の予算では、カメラ本体は買えても、レンズを買うことが出来ない金額である。フィルム一眼は諦めるほかはないかもしれない。
                                      15


*1ポジフィルム  現像後のフィルム自体が完成品で、スライドなどにも用いれるフィル
        ム。露出の寛容度が狭く撮影には正確な露出が絶対であるが、色彩再
        現、解像度が高い。


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