紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

出来ることならば初話からお読み頂ければ幸いです。

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 連載中

「家族」 対面 3

 
 カフェではスタッフの休憩時間で、いつものように常連客とスタッフが席を同じにしてコーヒーを楽しんでいる。戻った英子は、


 「もう心配して損しちゃったわ、あの子ったらスタッフの仕事ちゃっかり取り上げて、歓声上げながら楽しんでるんですもの」


と笑顔いっぱいではなすと、


 「もう、しっかり綾香のお母さんしてますね、英子さん」 


と、貴子が茶化し、みなの笑いを誘う。


 ランチのピークを終え、スタッフの賄い途中に綾香と敏也が戻った。佐々木の働きもあり、予定よりも随分と早く終えた様子だ。スタッフの賄は、いつもの通り貴子のカレーで、スタッフは彼女の実験台に乗せれれているのだ。


 「ただいま戻りました。英子さん、サンドウィッチご馳走様でした。お店のお姉ちゃんたちも宜しくお伝えくださいって」


元気いっぱいの綾香だが、敏也は少しむくれた表情である。気遣う英子に


 「英子さん、お腹空いたよ。私にも何か食べさせて」


 みなで食べても余るぐらいと思うサンドウィッチを用意したはずなのだが、どうも様子が変だ。敏也の話を聞けば、英子の作ったサンドウィッチは店舗スタッフと綾香のお腹にすべて納まり、佐々木も合わせて食べ損なっていた。


 英子は驚くも微笑みを浮かべ、綾香のお腹を擦りながら、


 「貴子さんの作ったカレーがありますけど、食べられますか」 
 
と訊ねると、敏也は頂くと返事をした後、満足そうに自分のお腹をポンポンとたたく綾香を


 「あ~サンドウィッチが食べたい~、サンドウィッチのいっぱい詰まった綾香のお腹をかじってやる~」


と追いかけ回している。敏也のおどけた姿を初めて見る貴子は、


 「世界の城山像が崩れて行く、、、」


とポツリとつぶやき、唖然としている。 英子は貴子に、


 「先生って、昔から結構あんな感じよ。あなた達が構えて接するから先生もね」


と微笑むが、とても貴子にはおどけて接することなど出来やしない。



 敏也はカレーを食べ終え、貴子とカレーの話に尽きることがない。貴子はいずれカレーショップをオープンさせたい夢を持ち、このカフェで、料理と、店舗運営について学んでいる。ここでしっかりと学び、顔をつくり、お店を成功させて欲しいと願う敏也だ。


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