紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

大海原 Second piatto 出会い

 
 相方の営む居酒屋は、出来合いのパック詰めの食材を皿に盛るようなことはせず、また、お店で使う野菜は、身内が販売目的ではない畑で、必要最低限の農薬の使用で生産をしていると言う。手作りの味をコンセプトにした居酒屋だ。繁華街への導線から外れ、しかもビルの二階で、駅周辺とは言うものの、決して立地に恵まれてはいない。まだまだ認知度も低く、いかに集客をするかが課題と言う。
 今回は日程的なこともあり行くことは叶わなかったが、是非、訪れたい居酒屋だ。安さを前面に打ち出したチェーン店と比べる必要もなく、ライバル視することでもないであろう。


 3軒はしごして時間も頃合であるが、相方は車で駅まで来ており帰る手立てがない。ホテルに戻り酔いを醒ますことになったが、醒めるわけがない。自販機で酒を買い込み、またも飲みが始まる、、、どれだけ飲むのだろうか、、、


 翌日は昼食にと、駅から少し移動し食堂に入った。店名に食堂とあるもののメインはラーメンで、多くの人で賑わっている。
 相方に遠慮することなく私は瓶ビールと醤油ラーメン、相方は味噌ラーメンを頼んだ。出されたビールは「モルツ」で、副原料を使わず造ったビールは濃厚でしっかりと旨い。ちなみに相方の居酒屋も「一番絞り」を提供しているとのことだ。


 メーカーの戦略もあり、一時飲食店では「ドライ」以外を見かけることがなく、残念であった。そもそも「あれってビールなん?」と未だに私の持つ疑問は払拭されていない。


 ラーメンは豚骨を煮立たせないように丁寧に出汁をとり、澄んだスープにラードがうっすらと張っている。メンマに海苔、なるとが入り、厚切りの煮豚がどかんとのせられ、ネギがどんぶりの中央を飾る。いい香りだ。
 個人的には薄切りのチャーシューが好きな私は、煮豚が厚すぎの感はあるが、とても満足の出来るラーメンだ。このようなラーメン屋さんが多くの人で賑わうことは嬉しい限りだ。チェーン店のラーメン屋など、この世から消えて無くなってしまえば良い、と私は真剣に思う。


 昼食をご一緒し、相方は買出し、仕込みで時間切れで、私は帰路に着くことにした。
 今回の旅は、冷や冷やもしたが、素晴らしい方との出会であり、大切な思い出だ。新たな旅の出発でもある。
                              大海原 第二章 終り

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