紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

大海原 Antipasto


 2月の終りに予定していた仕事がぽっかりと空いてしまった。こんなときは旅に出るのが良い。


 日常の休日では、それほど感じることはなく、身体が動くことを求めているのであろう。朝晩はまだまだ冷え込むが、寒さの峠は越え、行動するには丁度よい季節かもしれない。無性に出かけたくなった。


 私は普段からよく地図を見る。登山をしていたときは2万5千分の1の地形図を用い、登山中はもちろんのこと、自宅に於いても等高線を見ながら山のイメージをする。その癖なのであろうか、今は特別に目的があったり調べごとをするわけでもなく、ただ、見てるだけなのだ。インターネット上の地図ではなく、分厚い全国地図である。


 何が面白いのであろうか、自分でもわからないから不思議なのだが、お陰で47都道府県の位置関係、県庁所在地名ぐらは覚える気がなくても頭に入っている。そんなこと何の自慢にもならないし、知らなくても、生きていく上で何も支障はないことではある。


 実際学校で習って、生活の役に立つことは、「九九」ぐらいかもしれない。因数分解なんて誰が使ってるんだろう。




 今は様々な理由から止めてしまたが、以前はインターネットのチャットサイトに行くことが多く、遠方の方と知り合う機会もあり、その土地の話を聞くことも好きであった。


 サイトで知り合い一年弱ぐらい経ったであろうか、関東地方の在住で、メールの交換も含め多くの接点を持った方がみえる。


 地図をこよなく愛する私は、なんとなくその土地をイメージしてみる。道路地図には等高線がないので、立体的にはイメージすることが無理であるが、きっとこの海岸線を自転車で走ったら気持ちが良いだろうとか、イメージすると行ってみたくなる。


 グーグルアースなどと言う便利なものがあるが、見てるだけではその街の香り、音、人々の発する言葉のイントネーションの違いは理解出来ない。やはり自分で見て、感じたいのである。


 話がずれるかもしれないが、例えば信州旅行に行った知人から蕎麦のみやげをもらったとする。上質なそば粉を丹念に打ち、それは素晴らしい蕎麦であるのだろうが、茹でる水、茹で上がった後にさらす水、濃縮のつゆを割る水が違えば、味はまったく別物である。


 その土地の香り、音を一緒に楽しみ頂くのが一番であろう。
 これもまた人のもつ欲に違いない。


 距離にして500キロ以上はあるであろう。簡単に行ける距離ではないが、あまり深く考えることはしない。

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