紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 元ゲリラ3

「人らしく幸せに生きるって何だろう」


「何を持って幸せかは人それぞれの感情であり一概には言うことは出来ないですけど、人が生物である以上、基本的なことは子孫を残すことですよね。いろんな考えがある以前にここが最も大切なことで、ここを踏み外してしまって、生物である人間が幸せであるなんてあり得ないことですよ。まずそこがあって初めて人らしくがあるんじゃないでしょうか」


「結婚しても子供を儲けない人が増えたり、未婚の方が多かったり、悲しいことに自ら命を絶ってしまう人も多いですからね」


「そこですよね、私が一番懸念していることです」


「でも、子供の為に人生があるわけではないし、自分の人生を犠牲にするなんて私は嫌だな。結婚なんて考えたくもないですよ」


「子孫を残すことは強制も出来ませんし、明日香さんがそう考えるならそれは尊重されるべきですけど、多くの方がその考えに至ってしまうことに問題があると思うんです。それは、子供のときからその世代を十分に楽しんでこれなかったことも要因だと思うんですね」


「その時、その時に合ったことを思う存分に出来ていないから、その反動でそう考えてしまうってこと?」


「そうですね、それも要因のひとつだと思います。小学校から受験に向けた学習を子供に強要しますけど、子供にとって必要なことではありませんよね。それが必要となってしまう日本の仕組みが狂っているんです」


「それで頑張って勉強したところで絶対数で入れる高校も大学も決まってしまいますもんね。アメリカみたいに、入るのはさほど大変ではないけれど、卒業するにはそれなりに大変だって言うのが、まだ、その時代に合った生活が送れるでしょうね。それに競争を強いられて、敗北感から病んでしまう子がたくさんいるし」


「振るい落とされた人たちを受け入れる場所のひとつに、反社会勢力もあると思うんですね。撲滅、撲滅って躍起になってますけど、そこに身を落とさなければならない人がいる仕組みを日本が作ってしまってるんですよ。もちろん理由はそれだけではないでしょうけど、すべての物事には原因があって結果が生まれるんです。結果だけを見て、物事を解決することはできません。まぁ、日本が反社会勢力を撲滅させたら日本の治安はもっとひどくなるでしょうけどね。これはまた別の話です」


「欲が満たされることなく育って来て、本来その世代にするべきことが狂ってしまってる。確かにそれも原因のひとつかもしれませんね。後、いじめの問題や他にも多くの問題があって、子供を作る不安も、それに私達の老後だって不安だらけなのに、自分の子供の世代はどうなってしまうのかなんて考えてしまいますよね」


「それが日本の作り上げてきた仕組みですし、その中で育ってきた人達が幸せを感じますかね。多くの日本人から笑顔が見られないのは明確な理由があるんですよ。その原因を作っているのは指導者であったり教育者であるわけです。その指導者を選んでいるのは私達国民です」


                                   続く

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