紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 元ゲリラ2

 ホセ・ムヒカ、どこかで名前を聞いたことがある方も多いと思う。虫刺されの薬ではないので、念のため。この方、ウルグアイの貧困家庭に生まれ、大学卒業後ゲリラ組織に属していた。逮捕歴4回で内、2回の脱獄をし、戦闘では4発の銃弾を受けているつわものだ。軍事政権の終わりと共に政界に進出し、下院議員を経て2010年から15年まで大統領を務めた人物。政治家としての報酬は月額10万円ほどを受け取り、残りすべてを寄付し「世界一貧乏な大統領」と呼ばれた男。


 彼がノーベル平和賞の候補に挙がるきっかけとなった環境サミットでのスピーチを先ず紹介させてもらった。何の説明のない長文に読むことを躊躇された方もきっとみえると思う。いつでも時間のあるときにお読み頂ければ構わないし、何度も何度も読み返して頂ける方がおみえであれば、これほど嬉しいことはない。私のタイピングも報われる。BGMはこの曲で。

Weather Report - Teen Town
 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、彩香と明日香が顔をだした。昨日は名古屋を満喫したのであろう。今朝、痛かったかは聞けない、、、席に着きジンロックと紅茶を頼み、店を教えた礼を告げられた。さすがに台湾らーめんはひとつを頼み、二人で分け合ったようだ。美味しく頂けた感想とともに、名古屋の街に感じたことを二人は話している。そして彩香が出した言葉。


「賑やに人で溢れてるんだけど、不思議とみんな笑顔じゃないのよね~。都会の人ってみんなああなのかしら」


「あ、私も感じた。仲間で歩いててもめっちゃ早くって黙ったまんま。私達みたいにきゃっきゃ言いながら歩いてるのは田舎者なのね~って。たまに遊びに行くならいいけど、あんなことに毎日居たら、気が狂いそうよ」


 私達の世代はまだまだ多くの笑顔が今よりはあった気もする。多くの物で溢れてはいたが人とのコミュニケーションはとても大切なものであった。しかし、教育のありかたは受験のための学習を強いられ、他を蹴落としてでも自分が伸し上がる。それがまるで正しいことのように教育もされてきた。自分の下に人が居ることを嬉しくも思わせる愚かな教育に疑うこともなかった。これは差別意識の根源だ。


 ふたりが感じた姿を作り出してしまった私達世代の責任は重い。何も都会部だけに限ったことではないであろうが、それは都会部に多くみられることも事実だ。他を思いやる気持ちも育まれることはない。自己の欲求を満たすことがすべてであり、自国の弱者、紛争地、貧困に喘ぐ国のことなど考えることもしない、そのすべては他人事。愚かな指導者に愚かな教育者、そして愚かな国民、すべてで築き上げて来た国。


 戦のない平和な世を終らせ、欧米列強と肩をならべようとアジア侵略を目指した明治。その過ちに気が付かないまま昭和に入り、アジア全土に攻め入り大戦を避けることが出来ない情況に自ら追い込んでしまった。多くの犠牲を払った反省はどこにもみられることなく、追いつけ、追い越せで創り上げた国。学習能力のない世界で一番の野蛮な国かもしれない。
                                      
                                      続く


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