紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 伊vs印

 イタリア南部に位置する都市ナポリは、ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市だ。ピッツァ「マルゲリータ」の発祥の地でもあり多くの食文化を築いてきたのであろう。そしてこの地の名を冠したあまりにも有名な「スパゲティ・ナポリタン」がある。ナポリに行って本場のナポリタンを食べようと
「すいませ~ん、スパゲッティ・ナポリタンください!」
「???あなたアンポンタンね~」
と思われる可能性があり、辞めておいた方が無難であろう。


 日本発祥のナポリタンをアレンジしたパスタ料理もこの日本には存在している。私達世代の名古屋人にとって、イタリア料理はこれだ!と思わせてきた物だ。


 BGMは何の意味もなく、、、マカロニ・ウエスタンから。ちなみにマカロニウエスタンは淀川長冶さんが付けた名前で、英、米ではスパゲティ・ウエスタンと呼ばれているらしい。



LeRoy Holmes 映画「荒野の用心棒」 さすらいの口笛 Titoli
 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると明日香が顔を出した。紅茶を頼まれ私は買い揃えた紅茶用ティポットに用意し提供しいた。


「きゃ~びっくり、お紅茶用揃えてくれたんですね。やっぱりこの高さか、丸みを帯びて横幅がないと茶葉が踊らないですからね。う~ん最高」


「やはり美味しく頂くにはそれなりの理由があって専用の道具があるわけですから、お金を頂く以上はきちんとした物をお出ししないといけませんからね」


「ですよね~。あ、そうそう、こないだ友達と名古屋に買い物に行って、ちょっと古そうなカフェに入ったんですよ。それでお腹空いてたからパスタ頼んだんです。メニュー見ててミートはわかったんですけど、イタリアンとインディアンがわからなくて、聞こうかとも思ったんですけど、どんなのが出てくるか楽しみで聞かずに頼んだんですよ。そしたらびっくり何が出てきたと思います?」


「はぁはぁはぁ、私は出身が名古屋なんで答えはわかりますよ」


「な~んだ、ちぇっ!でも不思議だなぁ~」


 イタスパは本格的なトマトソースを使うことは許されず、ナポリタン同様にケチャップの使用だ。タマネギ、ピーマン、ウィンナーを炒め、茹で置きしてあるスパゲティを入れケチャップで味を付け、鉄板に乗せ、溶き玉子を回しかけ提供される。鉄板の板で「イタスパ」と言う説もある。


 具は店により異なる場合もあるが、イタリア国旗を表す緑、白、赤は外せない。よって、ウィンナーも豚肉を使った本物より魚肉を使った赤ウィンナーであることがより本格的だ。そして提供時には必ず粉チーズとタバスコが添えられる。本格「イタリアン」を食するのにはメキシコ原産のタバスコは欠かせない。


 イタリアに行き、「すいませ~ん、タバスコもらえますかぁ~」などと頼んだ日には、「タバ」になってボコ「スコ」にされる可能性があるので、辞めておいた方がいいかもしれない。


 後、調理のポイントとして大切なのは「アルデンテ」に仕上げないことで、茹でたてのスパゲティを使うこともない。あくまでも芯のない麺を茹で置きし、フライパンで炒めて表面の水分を飛ばすことでより本格化する。アルデンテに仕上げるなど本格的イタスパでは邪道だ。これはミートもインディアンも同じで、炒める行程が入る。炒めなければただの茹で過ぎの麺。


 タバスコを振り掛ける本格イタリアンが食べられるのは、あくまでも古典的な名古屋の喫茶店だ。イタリアでも本格的なイタリア料理店でも食べることができない逸品だ。


(写真は頂き物です)


「そうなんだ~、じゃあインディアンは?」


「インディアンはアメリカ先住民の意味ではなく『インドの』の意味ですよ。インドのスパゲティだからカレーかけです。コロンブスがカリブ諸島に着いたとき、インド諸島と勘違いしてて、で、先住民を見て、インディオって呼んでたんですよ。それからアメリカ先住民をインディアンって呼んでるんです。先住民からしたらいい迷惑だし、自分達がインディオの認識すらない話ですからね」


「アメリカ・インディアンではなくて、インドのね、納得。インドに行ってもそんなものないでしょうけどね」

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