“Soul bar-IORI” 必修科目2
日本に麻雀は明治末期に伝わり、広く一般に知れ渡ったのが大正の終わりごろだと言われる。明治42年、かの夏目漱石も「満韓ところどころ」で麻雀を紹介している。そして、同時期にアメリカにも麻雀は伝わった。
戦時中は麻雀も下火であったが終戦ととともに復活し始め、麻雀愛好家でもある作者による「麻雀放浪記」を期に麻雀ブームが到来する。しかし、賭博も絡みあまり良いイメージを持たない方が多いのも事実だ。
刑法第185条(賭博):賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
科料(かりょう)とは1000円以上10000円未満の財産刑で、刑罰の中では一番軽いものだ。罰金は1万円以上と決められている。
ただし以後の解釈が難しいが、組織的な営利団体ではなく、かつ常習でなければ「良し」とも取れる。この部分は過去の判例では認めてはいないが、この場合、摘発を受けても起訴されることは稀なようだ。
日本には憲法があり、国民の自由を制限することが憲法違反に当たるとの考えもある。ただ、今のところこの違法性は認められておらず、賭博罪は合憲。ちなみに「日本国憲法」とは、国家が国民に対して守るべきことを約束したもので、一般市民が憲法違反で摘発されることはないので、念のため。
「麻雀は遊びでなら、それほどうるさくは言われないってことですね」
「そのようですね。他の犯罪を誘発したり、怠惰で浪費な風潮を蔓延させてはだめですけどね」
「マスターは麻雀するんですか?」
「今はほとんど機会がないですけど、学生時代は結構やってましたね。必修科目みたいなもんでしたから」
「明るく健全ってイメージないですよね」
「そこなんですよね、問題は。アメリカは一部の学校で授業の中で行われてたぐらいとても素晴らしいものなんですけどね」
「ギャンブルとして見てしまうからダメなんですね」
「今、若い世代は人とコミュニケーション取ることも苦手な方が多いですよね。人の意見に流されず個を重んじることは大切なことですけど、ちょっとそれとは違う風潮だと思うんです。麻雀はゲームの複雑さから頭の回転も良くなるし、コミュニケーションを取るにも良いものだって思いますよ」
麻雀を教育に取り入れるなどは余りにも無謀だが、無意味とも思える知識を詰め込む教育だけではなく、楽しく学べる何か斬新な教育が今の日本には必要なのかもしれない。