紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 日本のお茶1

 日本にも多くの種類のお茶があるが、そのほとんどが緑茶である。中国では「釜炒り」して発酵(熟成)を止めるの対し、九州の一部を除き「蒸す」行程で発酵させないお茶を作っている。一部の茶葉産地では紅茶も生産されているようだが、商業的に成功してるわけではない。私の住む四日市も山間に行けば茶畑が広がりお茶の生産では三重県が全国3位を誇っており、伊勢紅茶なるものも生産しているようだ。まぁ、三重県は悲しいかなマイナーな県で何処にあるかも知らない方も多いのでとりあえず3位であることを自慢しておこう。


旅先での居酒屋女性店主(ゆかりさん)との会話、、、
「へぇ~三重から来たんだぁ~。で、三重県って処にあるの?」
「紀伊半島の東側で、、、」
「あ~あそこら辺ね。昔、奈良に行って、奈良から伊勢神宮に行ったけど、三重は行ったことないなぁ~」
「それ、三重県だってば。伊勢神宮は三重県」
と、言うぐらいマイナーな県で、三重は知らずとも、伊勢神宮、鈴鹿サーキットは知っている方が多いのかと、、、悲しすぎ。私の家でもF1の爆音が聞こえ、うるさい。


 日本の緑茶の生産はほぼ煎茶で、元々はお湯で煮出して(煎じ)抽出していたのでこう呼ばれている。現在は製茶行程で「揉む」ことが加わり、煮出すことなく手軽に急須で淹れられるようになったお茶(淹し)だ。


 後、意味不明なのが色、日本のお茶はほぼ緑色なのだが、なぜ茶色が緑ではなく Brown なのか。中国から最初に伝わったお茶が発酵茶で茶色をしていて、その色から茶色が生まれたとのことだ。


 BGMは何故かこの曲、、、



宮崎県内全駅ぶらり旅① 吉都線編 花咲く旅路 歌詞付き


 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると彩香が顔を出し、ジンロックを頼み提供した。



「何か最近日本の曲ばっかりですね。こないだのお姉さま達より断然に良いですけど」



「日本のお茶のこと考えてて確かこの曲がお茶のCMで使われてたんですよ」



「そうなんだ。ほっと落ち着いて、お茶のイメージにも合ってる気がしますね」



「でも、お酒が一番癒してくれるでしょ?」




「まぁ、それはそれ。でもさ、お茶って気持ちを落ち着かせてくれてほっとした気分になるんですけど、茶道はなんか違いますよね。硬苦しくって、作法だどうのって、あんなくそ面倒臭いもの何が楽しいんだろう」



 平安期に中国から遣唐使によって伝わったお茶は、日本で「茶道」と言う独自の文化を生み出した。これは室町期における茶に絡んだ博打や盛大な飲酒を伴う茶会を戒め、亭主と客人による精神交流を重視する茶会のあり方を説いたもので、わび茶の源流となっていく。



 「わび」とは、簡素な中に存在するひっそりと寂しい趣で、利休が完成させた「わび茶」は簡素簡略の境地「わび」の精神を重んじたもので、草庵の茶こそまさしく「わび茶」だ。同時に使われることの多い「さび」は、古びて味わいのあるもの静かな趣を表した言葉。



「草庵ってどんな意味なんです。お店の名前も『庵』ですよね。お蕎麦屋さんみたいですけど」



「草で造った簡素な建物って意味ですね」



「茶道の精神からお店の名前付けたんですね」



 本来茶道は、主人が質素な茶室で、客人に合わせた掛け軸、活花を飾り、料理、そして茶の後に振舞われる菓子に至るまで、いかに客人を喜ばすかを表したものだ。そこには一体となった美が存在する。もちろん、互いの気持ちを保つには守るべきことはあるが、作法に重きを置き、煌びやかな着物を纏い、高価な茶器を使い主人の力を誇示するものでは決してない。彩香の言わんとすることにうなずけてしまう。本来の思想から大きく外れてしまったのも茶道であろう。



                                        続く

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