紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 自立2

 日本人の自立心、自己責任のなさは、旅行形態にも表れているのではないだろうか。個人で旅を創るのではなく、決められたパッケージ・ツアーの利用が圧倒的に多い。パック・ツアーは費用的に利用価値も高く、移動や宿の手配などの煩わしさもなく旅行を楽しめるが、この手軽さは、言葉は悪いが金があれば誰でも出来ること。非日常を体験し、普段見ることのない景観を楽しみ満足は得られるが、創造性はなにもない。手軽さとはそのものの価値も手軽なものにしてしまう。


 旅行先もテーマパークが常に上位を占め、至れり尽くせりの歓待をしてくれる温泉宿が多い。価値観は人それぞれであって、何をどう楽しもうが個人の自由ではあるが、心なしか寂しい気がする。


 スイスは地の利もあり、年間を通じ海外からも多くの観光客が訪れる観光大国だ。訪れる観光客を楽しませてくれるテーマ・パークが多くあるのだろうか。いや、何もない。あるのは大自然だけだ。ならば、至れり尽くせりのサービスを提供してくれるホテルが多いのか。私は残念ながらスイスに訪れた経験もないので、本に書かれているスイスの一部を紹介したい。


 「旅の思想」川上源太郎著
 、、、観光客の眼と心を奪う自然のサービスがこんなにも豊かにあるのだから、人間のサービスなんぞはどうでもいい、と思っているんじゃないか。そう思われても仕方ないような、ぶっきらぼうで愛想のない男や女が、ホテルにもレストランにも土産物屋にも少なくない。しかし、彼らの歓待の眼は私たちと違って客の顔ではなく、どうやら足の方に向けられるらしい。ホテルのロビーで若い男の従業員がにこやかに笑いながら近づいてくるので、私に到着の挨拶でもしてくれるのかしらと待っていたら、何もいわずに傍らを通り過ぎ、ドアを開けて暗闇の中に消えてしまった。ドアのわきのガラス窓に顔をくっつけてみると、彼は泥んこ雪の道を靴の裏で固めている。これが賢固なるスイス人のサービスである。


 スイスのサービスとは、私たちが旅先で期待するものとは質が違うようだ。与えられた箱物やテーマ・パーク、至れり尽くせりのサービスを求めていては、このスイス人のもてなしを理解できないと思う。己の力で創り上げ、満足を得ようとする者に、より快適な旅の環境を作り、旅人を守るスイス人のもてなしがあるのだと思う。


 愛国心、スイスとは最も遠い距離にある国が日本かもしれない。戦争に負け、GHQ支配下に置かれたことも要因であるが、素晴らしい文化、伝統を持つ国だ。同じ大戦の敗戦国であるイタリア、ドイツも日本と同じように愛国心がないのか。私にはそうは思えない。


 スイスと日本の大きな違いに徴兵制がある。少々過激ではあるが、日本も一定期間、自衛隊への参加を考えてみた。むろん、戦争を放棄しているので戦闘演習など何一つ必要はない。災害支援や規律の大切さ、そんなことを学んでもいいのかもしれないと思う。多くの日本人は一見「輪」を大切にしていると勘違いしているが、日本人は先進国中、最も個人主義の人が多い国だ。そんなことも学べる機関であるならば、自衛隊の参加もありかもしれない。



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