“Soul bar-IORI” 似て非なる国5
「BGMを替えますね」
「本を読む前に、インターネットで多くの方がアイヌ民族に対してどのような認識を持っているか調べようと思い、質問形式のサイトを見ていたんです」
「なにか参考になるものがありましたか?」
「はい、見ていて感じたことはやはり『知らない』と言うことで、多くの間違った認識をされているんです。『日本人なのか?』、『日本語を話すのか?』なども多かったですね。認識違いから多くの過ちが起こるのも事実で、やはりドイツのように自国の歴史で影となる部分もしっかりと教え、間違った認識を持たないことが大切です」
「多くの混乱を招くだけですよね、認識違いによってありもしないことが事実のように存在してしまうほど、愚かなことはないですね」
「そうですよね、今は英語教育が小学校から始まってますが、もっと日本に付いて多くの時間を割くべきだと感じますね。影の部分ももちろんですが、日本には素晴らしい文化もあり、それを英語より先ず知らなければいけないことです。日本人は日本を知らなすぎるから愛国心がないんですよ。愛国心のなさが多くの問題を引き起こします」
「街は横文字ばっかりですからね。英語を母国語としない国ででこれほど多く使われてる国もなかなかないでしょうね。ドイツは英語の看板とか多いの?」
「観光客用に英語表記した案内はありますけど、そもそも街に看板もありませんし、電気配線も地下です。日本は看板と電気用の柱と線で綺麗じゃないですね。ドイツは歴史上大きな汚点を残していますが、みな誇りを持っています。国も言葉にも、そして自分自身にも」
「そうなんだぁ~、街はすっきりして綺麗だろうな。日本人は人の意見に何でも流れて愛国心もないし、ドイツ人と似てるなんて言われるけど、全く違うんですね」
「すべてが、政治、教育の問題だと思います。学校は人がまず最初に差別を受ける場所で、他の児童と運動、学習能力の優劣を付けられますよね。あって当たり前なのですが、『自分と違うこと』の大切さを教えないからよくないのだと思います。自分と違う相手を認めることの大切さですよね。人は感情を持っていますので、好き、嫌いはあって当然なんですね、ただ、自分と違う相手を嫌いであっても認めなければいけないんです。いじめも差別意識もなくなっていくと思うんですけどね」
「正しい知識を持って、違いを認めるかぁ~なるほど。人に自分の考えを押し付けても揉めるだけですもんね」
「生まれた国や地域、思想、肌の色も、そして身体に障害を持ち、自分と同じ行動が取れない人に対しても、好き、嫌い関係なく認める大切さです。差別がすべて悪いのではなく必要な差別と言うか判別、区別もあるわけです。差別によって人が傷ついてしまうことがあってはならないのです。心も身体もですね」
今現在も、アイヌ名は日本政府によって認められていない。アイヌ民族にとって最大の不幸は最も野蛮な民族の勢力圏の隣に住んでいたことに間違いはない。悪しき法がなくなり先住民として認められた今、民族の誇りを取り戻し、アイヌの文化を発信する方も多い。異民族として独自性を尊重し、同じ日本国民として協力も必要であろう。また、今までに多くの不当な差別を受け、アイヌ民族であることを主張しない人に対し、アイヌ民族だと私達が主張する必要はまったくないことだ。