紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 似て非なる国4

「ずっとBGM止まったままでしたね。何をかけようか、、、」


「何かほっとするような曲がいいなぁ~」


「では、この曲で。“The Temptations ”の“Just My Imagination ”かけましょうかね。多くのアーチストがカバーしてる曲で、歌詞に具体的なことは出てきませんが、肌の色が違う方との恋を妄想している曲って言われていますね」



Just My Imagination - The Temptations


「あ~なんだか、落ち着きますね」


「少し堅い話が続いてしまったので、疲れてしまったのではないですか?」


「いえいえ、それでアイヌの方達は明治以降どのような扱いをうけたのですか?」


「はい、明治維新後、蝦夷を北海道と改め本格的開拓が始まって、アイヌの人達は同化政策を受けることに成るんですね。アイヌの方達を保護する目的で明治32年に北海道旧土人保護法が制定されるのですが、行われたのは土地の没収、収入源である漁業・狩猟の禁止、アイヌ固有の習慣風習の禁止、日本語使用の義務、日本風氏名への改名による戸籍への編入などです」


「アイヌ民族としての生活、誇りまでをも奪われてしまったわけですね」


「結果、そうなってしまいましたね。保護の目的と言ってもあくまでも日本人、和人目線での保護で、同化させることですからね。学校教育も和人の子供とは別学が原則ですし、教育内容も格差を設けて一層差別を深いものしただけです。明治政府は江戸時代にあった身分制度を廃止しましたが、江戸時代の身分制度を整理しただけですよね。自分達の特権は残し、被差別部落の方の戸籍に新平民や、元穢多、元非人等と記載されたのと同じように、アイヌの方にも旧土人と記載されています」


「平等を目指した身分制度の廃止ではないのですね。差別を生む背景を国が作り出してるわけですよね」


「おっしゃる通りですね。差別は必然的に作り出されてしまいます。一度権力を手にした人間は自ら離しませんからね。今の日本の政治にもそこだけはしっかりと受け継がれています。差別はやはり政治、教育が生み出すものなのですよ」


「先ほど、アイヌ民族の人権が開放されたのはつい最近って言われてましたけど、どんな取り組みをしたのですか?」


「私も明治以降のアイヌの方の暮らしは、まだこれから学ぶところであまり理解出来ていないのですが、北海道旧土人保護法は1997年まで存在した法律で、アイヌ民族は社会的地位の向上と民族としての誇りの確立を目指し、社会に対して粘り強く主張を続けこの法律が廃止され「アイヌ文化振興法」が制定されたんです。そして2008年に、今まで単一民族を主張してきた国は、「アイヌが北海道の先住民族」であることを公式に認め、アイヌ文化が保護されることになったのです」


「ようやくスタートしたわけですね」


「本当に、ようやく、ですよね。形的には認められましたが大切なのは今まで根強く残った差別、他の多くの差別に対し私達がどう考え、行動するかですよね。過去の過ちを悔やんでも元には戻せません」


「そうですよね。先ずは真実を知り、反省し、差別を次世代に残さないことですよね」


「最も大切なことだと思います。学校教育なんかまったくは当てに出来ませんしね」
                                                    続く


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