紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 色


 冬はなぜか全体がモノトーンに感じられ、色をあまり意識させない。無論、色の違いはあるのだが、冷たく張り詰めた空気がそう感じさせるのであろうか。色は目も心も和ませてくれる。黒、白、黄色と識別される色にも濃淡があり、一色だけではない。自然の持つ色はみな美しい。色で人が傷つき病んでしまうような魔物であってはいけない。



悲しい色やね 上田正樹('08)


 カラン、カランとドアベルが鳴った。手提げ風呂を抱え、優子がラウンジでのピアノの仕事を終え訪れた。


「いらっしゃいませ。お飲み物はいかが致しましょうか?」


「ハーパーをロックで。ねえ、マスターこれ冷凍庫入れて置いて下さいよ。後で一緒に食べましょうよ、アイスクリーム。持ち込みですけど」


「はい、かまいませんよ、アイスクリームはメニューにありませんから。ありがとうございます。はい、ハーパーロックお待たせ致しました」


「なにかお酒飲んで温まると食べたくなるんですよね~。綺麗な琥珀色。でも、珍しいですね、日本の曲」


「日本にも好きなミュージシャンはたくさんいますよ」


「色々と楽しんだ方がいいですよね」


「まぁ、楽しめない音楽も日本にはたくさんありますけどね」


「色って言えばさぁ、この前抹茶のアイス食べたら、もう舌が緑に染まってしまって、なんかおかしかった。だから、今日はバニラ買って来ましたからね」


「着色料の色が舌についてしまったんですね、けっこう変なのもあるらしいですよ、着色料」


「見た目も重要だけど、あまり変なのは嫌ですね」


「抹茶は蚕のフンを使うらしいですよ、着色料に」


「え~虫のフン使うんですか?気持ち悪い~どうしよう、この前に食べたのも、、、」


 食用着色料は大きく天然と合成の着色料に分けられ、天然は自然界にあるもので生成され、合成は科学的に合成される。


 天然着色料は発色が柔らかで、混ぜる対象食品によっては曖昧な色が出来上がる。一方、合成着色料は少量で鮮やかに発色し、色素同士を混ぜ合わせ多くの色を安易に作ることが出来る。


 日本では12種類の合成着色料が食品添加に認められているが、人体への影響から欧米では禁止する国が多い。日本人だけが石油、タールの類を分解する酵素を持っているのであろうか?かつての日本の指導者は、竹やりで爆撃機を落とせと命じた。今の指導者達も思考回路は大差はなく、日本人だけが特殊能力を持っていると思っても不思議ではない。己の欲の為には人はどうでもいい。


 以前は聞くこともなかった新たな疾患が増えていることは、何かしら因果関係があるのかもしれない。国民の健康、生活よりも企業の利益を最優先する国もなかなかないであろう。もしや、新たな疾患が次々と生まれ、医療、製薬の利益が上がれば良いとでも考えているのであろうか。立派な指導者達だ。


 国が安全だと認めたものを、安易に信じることは避けた方が懸命であろう。欧米で実害で出ているもにも係わらず、利権が絡み販売、使用を規制せずに、尊い命を失った方、今も被害に苦しんでいる方も多い。ただの馬鹿なのであろうか?その愚かな政治家を選んだのも残念ながら国民だ。


 合成着色料などは論外だ、味にもまったく関係なく必要のないものだ。失くすためには消費者が選ばないことが一番早い。そして、天然系が安全だとも決して言えない。。鮮やかなオレンジ色をした食物繊維入りドリンクやイチゴミルク、加工品のハム、かまぼこ等によく使われたカイガラ虫の雌をすり潰したニコチール色素が危篤な被害をもたらしている。虫の持つたんぱく質が原因らしいが、元々は繊維の染料として使われていたもので、何時の間にやら食品にも使われだしている。口にするべきではないのであろう。蚕のフンが安全かどうかは私は知らない。


「もう何を信じていいのかわからないですね」


「行政は己の利益しか考えませんから、当てにするのではなく自分で学び、知り得、判断するしかないでしょうね。鵜呑みして流されないことですよ。ハーゲンダッツは緑茶の色素をきちんと抽出してますし、きちんとした企業もあるんですけどね」

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