紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 食1


 “David T. Walker”の“Soul Food Cafe”をBGMに。ドラムは私の友達の“N'dugu”だ。彼が「そう」言ったのだから仕方ない、友達でいてあげよう、、、おいっ!



 実はこれ、ライブ会場でサインを頂き、写真を撮ってもらおうとカメラを出した瞬間、店員が飛んで来てカメラを取り上げようとしたんですね。私は当然抵抗し、「写真がいい、だめを君が決めるな。本人がだめと言えばカメラをしまう」


 やり取りをみていた彼は「何をするんだ、俺の友達に。写真は大丈夫だ」と言ってくれ、一緒に撮ってもらったのが「魔法」で紹介した写真だ。ほんとアメリカの方はファンを大切にします。店員はマニュアル通りの仕事をしただけで非はなく指導、教育の問題だ。彼らの感覚は日本人と違うことを認識しないといけないと思う。愛と優しさに溢れ、ファンに夢と希望を与えているのだ。そしてファンを失望させることは決してしない。


 カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、優子の友達が一人で連夜の来店だ。


「いらっしゃいませ」


「オランダのジンくださ~い、ロックで」


「かしこまりました」


 ロックグラスに氷を落としブラウンのボトルから注いだ。


「ボルスのオールドジュネバです」


「う~ん、いい香り。ねずの実の香りがまろやかですね」


「よくご存知ですね、杜松の実。漢方にも使われて、元々ジンはオランダで風邪薬で売られていたんですよ」


「へぇ~そうなんだ。温まりそうですもん。しかしマスター昨夜は熱く語っちゃいましたね。彼女も気が合いそうって喜んでましたよ」


「ありがとうございます。車には嫌な思いをたくさんさせられてますからね、普段から。私も自転車に乗り始めて気が付くことも多くて、今までの自分を反省しないといけないところもあるんです」


「マスター自転車なんだ、びっくり。その立場になって見えてくることもありますからね。私も自転車乗るんですよ、クロスバイクですけど。マスターは?」


「私はロードタイプですね。でもレースとかはしませんよ。人と争うために自転車やってるわけではないので」


「楽しみ方は人それぞれだけど、ロードレースの漫画の影響で自転車始める人も多いですよね」


「きっかけは人そろぞれあるでしょうけど、ブームで終らず、なんとか自転車が根付いてくれると良いのですが」


「身体にも環境にもいいし、それに楽しいですから自転車、大丈夫ですよ。あっ、そうそう、身体に良いことをって思って食べ物のこと調べてるんですけど、もう怖いですね」


「多くの問題があるようですね。店で加工品はチーズとパンチェッタぐらいしか使いませんけど、添加物などの混ぜ物の件もそうだし、何より考えないといけないのが、食が崩壊する中で人としての大切な感情が失われてしまうことにあると思うんです」


「例えば?」


「家族の絆であったり、食への感謝の気持ちですよね。食材、生産者、調理する人への感謝も含めてですね」
                                      続く

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