紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 島国1


 私は自家用車の利用は必要最低限に留め普段の移動手段は自転車である。車の利用は月に一度あるかないかで、重いものを購入する以外使うことはない。昔みたいに灯油も米も配達が可能であれば、私の環境では車は必要ないものだ。雨で自家用車を利用することもなく、公共交通機関を利用すればこと足りてしまう。


 自転車を始めてから風邪を引くこともなく、多くの同年代の方のようにベルトにお腹が乗っかることもない。体脂肪率は10%を切り、20代の体重を維持している。ただ、食料難が来て何日も食事が出来なければ、私は真っ先に逝ってしまうだろう。何日もつのだろうかと考えることもあるが、餓死してしまったら意味もないので実験したことはない。


 以前アメリカのドキュメンタリー映画に“Super Size Me”があり、ご覧になった方もいるであろう。一日3食、一ヶ月間に亘りスーパーサイズのマクドナルドを食べ続け、身体に与える影響を実験した映画だ。恐るべきマック、、、主演、監督、製作を務めたモーガン・スーパーロック氏に敬意を表したい。ちなみにこの方の名前のロックは“lock”で「岩」ではなく「鍵」である。


 自転車の活用は健康面、ストレス発散にと私に良い影響を与えてくれる。しかし、自転車の活用にめげることも正直ある。寒さ?とんでもない。10分も真剣に漕げば身体は温まってくる。私の快適な自転車活用の邪魔をするのは、車だ。


 さてBGMは何にしようか、、、ゆったりと聞ける音楽がいいな。



Killing Me Softly With His Song | Roberta Flack | Lyrics ☾☀


 カラン、カランとドアベルが鳴り客の来店を知らせる。いつものピアニストが外国人の女性を連れ立って入ってきた。


「いらっしゃいませ。今日はお二人様でよろしいですか?どうぞ」


「私はハーパーをロックで」「私、ビール下さい」


「彼女はクリスティーネ、日本語ペラペラだから安心してくださいよ、マスター」


「それはありがたいですね、助かります」


 名前から察するとドイツの方なのであろうか。銘柄の指定がなければお出しするアメリカのビール、バドでは薄すぎて合わないかもしれない。バド、ハイネッケン、カールスブロイを並べ選んでもらうと、


「やったぁー、カールスベルクあるんですね、最高」


 デンマークとドイツに「カールスバーグ」がある。区別するためにドイツのカールスバーグをカールスブロイと通称で呼ぶが、ドイツ語はカールスベルグと発するらしい。ドイツ語になかなか縁がないものだ。馴染みがあるのは“Heil”ぐらいのものかもしれない。「万歳」


 ビールに厳格な基準があるドイツでは、多くの日本のビールにあるような米などの副原料の使用は認められない。麦芽のみで作られるビールは濃厚でずっしりとした重みがあり、副原料を加えたビールは軽い味だ。


 日本のメーカーは気候風土の問題もあり、「日本人に合ったビールの開発」と理由を付け米を使う。しかし数種ながら副原料を使わないビールも生産しており、特別扱いをし値段の設定が高い。メーカーの意図が曖昧だ。「材料費を安く抑え、より利益を上げるため他の材料を混ぜています」でよいのではないだろうか。コピーし、紛い物を作り上げるのに天才的な力を発揮する日本企業。


 味覚も多くは慣れだと思う。羊の肉を普段から食べ慣れない人は臭みを嫌がるが、豚、牛肉にも獣肉の匂いはある。現にジンギスカンで羊肉を食べ慣れている北海道の人は好んで食べるし、牛肉を臭いと感じる方も多いようだ。


「私、思うんです。日本はどこも綺麗、素晴らしいです。でも日本はルール守らないです。ビールも偽物です。車で40キロの道、40キロで走ってると怒られますね。どうして?」


                                      続く

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