紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

出来ることならば初話からお読み頂ければ幸いです。

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 連載中

「家族」 カポクォーコ 2

 敏也は雪子をテストしたわけではないが、料理を食べ確信をしていた。


「イタリアンは気取らない家庭料理をベースにしたもので、食を通し絆を深める素晴らしいもの」


 日本ではバブル期にイタリア・ブームが沸き起こった。高級ブランドが紹介される中で多くのイタリア料理店が開業し、イタ飯と呼ばれ若者達のトレンドとなっていた。ブームとは、文化までをも浸透させる時間は持っておらず、表面だけのもので、間違った認識もしてしまう。ブームはいつの時代も、どんな内容にも関わらず招く結果はみな同じで、根付くことはない。没個性がよしとされてきた日本人の多くは、ブームに流されることが多く、他人と同じであることに安心をする。とかく洗脳されやすい民族だ。


 ヨーロッパの多くの国は、食に家族、友人の絆を重んじる。ゆっくり時間をかけ多くを語り楽しむ。食が崩壊し、招く結果はあまりにも大きい。


「雪、坂崎君がいてくれる間に、和のテイストを織り交ぜたイタリア料理の店をやらないか?単に料理を提供するだけではなく、イタリアの食文化が持つ食の楽しさ、絆の大切さを発信していく。駅前に借地が見つかった。坂崎君、力を貸してくれるか?」


「もちろん」「宜しくお願い致します」


「そして、伊豆半島サイクリングの起点として、サイクリストをフォローしていく。店の名前は “Giro d’Izu”伊豆一周の意味だよ」


 そして坂崎が東京に戻ることなく、伊豆に残りたいと話し始めた。


「実は結婚して8年、子供に恵まれず諦めていたんですけど、ようやく出来たみたいで。幸とも話をして、この環境で子供を育てられたらいいなって。お願い致します、私をここに置かせてください。子供の為だけではなく、幸も私もここに居たいんです。社長、女将さんの了解を得て、親方に話してきます」


「おめでとう」「おめでとうございます」「幸さんおめでとう」


 そして女将は、経営はどうあれ、夫婦を宿の後継者に育てることを心に決めていた。
 翌日、敏也は東京に出向き筋を通した。 


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