紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

大海原 Second piatto 勝ったり、負けたり


 駅に辿り着いたので居酒屋を探してみようと思い立った。持っている情報は、駅から数分、ビルの二階、店名でありさほど難なく探し当てることは可能であろう。


 駅裏に停めた自転車で表側に回り、辺りを見渡すと飲食店が軒を連ねる場所がある。多くのビジネスホテルもあり、一駅向こうで宿を取ったことを後悔もするが、致し方ない。あまりにも計画性のない私が、すべて悪いのである。


 特に先方の都合などお構いなしにこの旅を決行したことは、あまりにも無謀であるが、そこには先方がお店を営んでいることがあり、私の「無計画な計画」もさほど先方に対して害があることではないと思った。ただ、全てが順調に進まないことも想定内にし、


「こうなったら、ああする」


で良いと思う。だから旅は、過程にこそ面白さがあるのだ。


 駅前から何度も飲食店街を行き来すが、見つからない。飲食店街のメインストリートを外れた路地も隈なく探すが見つけることが出来ない。そして昼過ぎに連絡を入れると言う時刻が迫っているが、電話のコールが鳴る事もない。


 一瞬嫌な予感が頭を過ぎるが、最後まで相手を信じ、自分自身を信じよう。とことん信じて、それでダメならそれでいい。いつの日か、きっと旅の良い思い出になってくれるであろう。


 自身に言い聞かせるも、やはり気持が落ち着かない。観光どころではなく、景観も目に入らず、なにか彷徨っている感じだ。こんなときはどうするのが良いのか、、、寝るしかない。ホテルに戻り、休息だ。連泊にしておいて良かった。


 何気なくTVを点けるとサッカーをしている。スポーツ観戦は好きではあるが、他人のすることにさほど熱くはなれない。凡人には出来ない素晴らしい技を見せてくれるが、最後には「勝つ」か「負ける」かの勝負ごとで、私はそこに執着することはないく、興味がない。


 人は子供の頃から勝負を強いられている。学業にしろ体育祭にしても順位で評価され、そのまま大人に成っていく。人としてどれだけの意味があるのか、私にはわからない、、、。


 勝ったり、負けたりに一喜一憂し、とかく勝負事が人間は好きなのであろう。そこに自ら身を置き、壊れてしまう人が多いのも現実だ。


 人は無理をして頑張っても、頑張らなくてもいずれ死を迎え、致死率は100%である。どんなことにも「頑張れ」、「頑張って」とエールを送るが、私は頑張ることが嫌いだ。頑張る必要などどこにあるのだろうか。頑張ることも欲のためなのだろうか。人以外の動物は頑張ることはせず、自然に身を任せ生き続けている。


 私は私でしかない。他人と比べられるものでもない。人に負けることなどいくらでもあるし、どうだっていいこと。ただ、自分自身に負けないように生きてきたし、これからもそうありたいと思う。


 テレビに集中もできず、寝て、身体を休めることにしよう。

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