紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

大海原 Second piatto 信じること


 目が覚め、ベッドに横になりながら、「さて、どうしようか」 と今日の行動を考えてみる。
 夕方まで観光がてらサイクリングを楽しみ、居酒屋が開店する頃合をみて伺ってみればいい。居酒屋が存在しない可能性も考えられるが、判明したときに考えればよいことだ。


 起き上がり、窓の外を見ると幸いにも晴天だ。きっと素晴らしい景観が待ち受けてくれているであろう。


 さて、食事の前に朝風呂で、洗濯もしないといけない。風呂と食事の時間を合わせれば頃合であろう。
 浴場に向かう前に、連泊が可能かどうか、フロントに立ち寄って確認をすると可能である。荷物を持ってサイクリングも煩わしく、今夜の宿もここに決めることにした。


 朝食を済ませ部屋に戻り、再度連絡をしてみようと電話を取り、


「届け!」


とだけ文字を打ち込み送信をした。少し待ってもメールが入ることはなく、リターンメールの可能性は消え、確認すると「送信済み」と出ている。


「もしかして、送れた」


と思うものの、メールの内容を見て相手はさっぱり意味がわからないであろう。数分で返信が届き、内容は


「届け!だけ?w」


とあり、やはり意味がわからない様子だ。


 こちらの状態を伝えるべきか、隠したまま夕方お邪魔をするか悩むところであるが、ただただ、着信拒否ではなかったことが救われる思いだ。何だったのであろうか、、、と考えたところで、さほど意味はなく、現実としてメールは届いている。それだけでいいのだ。


 ただ、届け!の意味を伝えなければならず、メールを打ち始めたが面倒になり、電話をかけてみた。数ヶ月メールのやりとりをしているが、電話をかけるのは実は初めてである。昨日もかけてはいるが通じてはいない。


 先方にメールも電話も出来ない状況にあったことを説明し、近くに居て、夜に店に行くことを伝えると、明日の定休日に宴会が入り、今日は臨時休業とのことだ。なんてことであろうか、しばらく唖然としたまま言葉が出ないが、行くことを伝えなければ状況はもっと悲惨だ。


 しばらく間が空くと、先方から一緒に飲みに行こうとの誘いだ。願ったりであり、二つ返事で承諾をし、また、先方から昼過ぎに連絡を入れると言われ電話を切った。


 自分を信じ、相手を信じ、ここまで来て本当によかった。夜の飲みが、今から楽しみである。

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