紀行、小説のノベログです 日々感じていることを盛り込み綴っています

「自転車と列車の旅の追憶」 紀行 完
「大海原」 紀行 完
「家族」 小説 完
“Soul bar-IORI” 短編小説 完

“Soul bar-IORI” 元ゲリラ5

 国は向かうべき方向を指導者が定め、国民を教育していく。国民の姿は日本の指導者達を映し出したもの。自然の摂理から大きく外れ、世の中のバランスを崩すことが日本人はとても好きだ。そうやって日本は伸し上がってきた国でもある。己のことしか考えない日本人が多いのも、これもまた指導者を映し出した姿。


 政治家の報酬は各国により様々な考えもあり、大きく異なる。あまり意味のないことではあるが、日本の首相は月額の基本給は205万円で手当てを含み240万円程が支給され、賞与を併せると年収は5、144万円。ちなみにアメリカ大統領のギャラは、日本円で年間4,900万円ほどらしい。ドイツ2,840万円、イギリス2,600万円、フランス2,400万円。


 ムヒカ氏の大統領時代のギャラは月におよそ100万円。10万円を手元に残し、税制などを把握しておらず曖昧な金額ではあるが、毎月80万円程を寄付してきたのであろう。10万円の金額は国民の平均的な月収より、少し多いらしい。その10万からも残った分は寄付に回したと言う。己の物欲ではなく国民の生活向上をめざし、政治家として得た収入を寄付し、そのお金を元に他からの寄付も併せ農学校などが設立されている。


 物価の違いもあり一概に比較は出来ないが、小池都知事は給与の半減を公約にしその金額を受け取っている。半減された都知事のギャラで年収はおよそ一千万、半減したところで何も困ることはないであろう。カットされた金額は都民の為に使われるのであろうか?


 決められたものを受け取ることに非を感じる必要は何もない。その金額に見合った仕事をすれば良いだけだ。半減で何も困ることはなく、その行為で自らを正義と称える姿があまりにも嘆かわしい。ただの愚か者の見せかけで、政治家としての良心ではなく、選挙に勝つための手法でしかない。明治以降、権力を手にした者達は、自己を優先することを改めることはない。政治家の伝統は固く守られて行く。


「『世界一貧乏な大統領』って呼ばれていた方ですね、確かウルグアイの元大統領」


「そうです、よくご存知で。ただ彼自身は自分を貧しいなんて捉えていませんでしたね。大統領時代も官邸には住むこともせず、国際会議に行くにも専用機などもちろん持たず、チャーターすることもありません。一般の人と同じ飛行機に乗りしかもエコノミー。帰りは隣国の大統領機に便乗させてもらうこともあったそうですよ。友人から譲り受けた古い車に乗り、認知度が上がり億の金で買取を打診されたときには、


『譲ってくれた友人を傷つけることになる』


って手放すことをしなかった方で、こう説いてますね、


『貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ』


そして、私は質素ではあるけれど、貧乏ではないともね。そして指導者のあるべき姿を最も根っこの部分で語った言葉。これは日本の政治家に真剣に考えて欲しいですね」


「どんな発言をされたのですか?」


『私たちは、代表民主制と呼ばれるものを発明しました。これは、多数派の人が決定権を持つ世界だと私たちは言います。ならば、私たち(各国の指導者たち)は、少数派ではなく多数派のような暮らしをすべきだと私には思えるのです』


多くの金を手にし富を得ている者が、多くの国民の気持ちなど理解出来るはずもないですよね。根本解決などあり得えなくて、民間感覚とはかけ離れた公務員の姿も変わることはありませんよ。無駄な金を惜しみなく垂れ流しているのが日本です。そしてさらに、


『お金があまりに好きな人たちには、政治の世界から出て行ってもらう必要があるのです。彼らは政治の世界では危険です。お金が大好きな人は、ビジネスや商売のために身を捧げ、富を増やそうとするものです。しかし政治とは、すべての人の幸福を求める闘いなのです』


日本の政治家達は自己を優先することを惜しみません。己を守り、強きを助け、弱きは葬ることしかできないんですよ。これも明治維新以来ずっと続いてる日本の政策で、何も変わることはありませんよ。金に振り回されてる指導者達ばかりですし、未だに不正で挙げられる政治家がいるなんて完全に発展途上国で、先進国のあるべき姿ではないですよね」


「私腹を肥やす人もいるけど、政治なんてそんなもんかなぁ~って。理想はそうでも、なかなか、、、」


「彼はただの理想家とは違いますよね、大統領として一国を導き、実践してそれを世界に発信した方ですから。彼が2年前に来日したときに、こう言いました。


『日本人は本当に幸せなんですか?』


                                      続く

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