“Soul bar-IORI” 絶頂のお馬鹿
明日香が店を後にしノーゲストが続きニュースを見ていた。
「小学校の標準服がアルマーニ」
バブル経済に酔いしれた20代(私の)、今思えば馬鹿な金の使い方をしたと思う。ただ、当時にそう感じることはなく、高価なスーツを身に纏い夜の栄(名古屋の繁華街)を闊歩したものだ。欧米人と体系が異なり、決して似合うことはなかったであろ。アルマーニ、ヴェルサーチなどなど、、、欲しいのは名前だけ。
う~んBGMは、何にしようか、、、ヴェルサーチのスーツを着こなしたエリック・クラプトンのDVDをセットした。
Eric Clapton - Bad Love - Live 1990
カラン、カランと呼び鈴が鳴り客の来店を知らせると、優子が一人顔をだした。席に着きハーパーのロックを頼み、DVDを見入っている。
「へ~ラフな格好のクラプトンしかイメージないんだけど、スーツも格好いいですね」
「当時、こんな格好をしてましたね。DCブランドが飛ぶように売れた時代があって、私も20万も30万もするスーツ持ってましたよ。胴長日本人の体型にはまったく似合いませんでしたけどね。サイズ合わせても袖は長いし、なで肩なので着たときのシルエットは崩れるし」
「私は普段着る物なんてしまむらで十分」
「ですよね、もう今は私もジーンズかチノパンで、普段なんてチャリ用ですから」
「そんな時代にあって、東京の銀座の小学校の制服がアルマーニってどうなのよって感じですね」
「あ、私もニュースで見ましたね。校長も教育委員会も、もうお馬鹿としか言えませんね」
「成長期ですぐに着れなくなるし、替えだって必要ですよね。それに小学校って運動場で走り回って、ころんですりむいて、泥んこになって遊ぶ時期じゃないのかな~。銀座はそんな遊びしないかな~。私立ならまだあるかもしれないけど、公立ですよ」
一時期の景気低迷は脱したとは言え、まだまだ多くの人に還元されているわけではない。一極に集中し格差が広がった問題もあるが、逆に金満であった日本から、本来あるべき姿になったのかもしれないとすら私は感じる。私達日本人は、この低迷期にいったい何を学んだのであろう。景気が少し回復すれば、このような馬鹿な事例がすぐに飛び出してくる日本。いったいどうなってしまうのであろう、、、校長の言う「服育」とはいったいどんなものなのか、どんな子供達を育てていくつもりなのだろうか。